毎朝、ラジオをかけて、それを聴きながら掃除をする。 午前五時から六時半までのプログラムだ。 ぼくは、番組が始まる前に起き出して、コーヒーを挽き、ドリップしながら一日をはじめている。 ラジオは最後まで聴いていない。掃除が終わると、愛犬ハナと散歩に行くからだ。
まだ寒かった冬のある朝、スピッツの「ロビンソン」がかかりおもわず聴き入ってしまった。 すーっと心の中に入ってきたのだ。 寒い朝の空気を震わせるのにふさわしい歌だと思った。
スピッツはずいぶん年下の友人である女の子が熱烈なファンで、 彼女の影響で聴いたことがある程度だったんだけれど、 その日から、ぼくもCDを買いに行き、このバンドを聴き出したたのだった。
おまけにその朝のことがきっかけになって「朝のロビンソン」というとても短い小説もできて、 メルマガで配信した。
今朝、ハナと散歩から帰ってきたら、ちょうど番組最後の曲が流れていた。 スピッツの「チェリー」だった。 この曲は何度も聴いていたけれど、またしても聴き入ってしまった。
このナイーヴな歌詞をいい年をした男が聴き入るというと、笑われるかもしれないけれど 朝にぴったりなのだ。
朝食を食べながら、それが何故なのだろうと考えていた。 窓の外にはたくさんの鳥たちが啼いていて、その声に意識が向いた瞬間、これだ、と感じた。
マサムネ君の声は、鳥なんだ。 ヒヨドリとかヒバリの系統じゃなくて、ウグイスなどの澄んだ高い声の系統。
スピッツのファンの人には怒られそうだけど、ぼくはこの直感が気に入ってる。
朝にぴったりのはずだ。
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