「アエラ」3月15日号は吉行淳之介特集。 明日発売なので、大型書店だと今日並んでいた。 なんといっても、吉行さんが旧制静岡高校二年の時に書いたノートが公開されたことがトピックだった。 題名を「星が流れつつある」という。
吉行さんが手もとにある古い原稿を燃やしてしまったことをエッセイに書かれていたから、驚きだった。 高校時代からの友人が保管されていたという。
生原稿の隅に「小説」と書き、それを消して「散文詩」と書いてある。 読んでみるとたしかにこれは「散文詩」だけれど、シュールな「小説」とも読める。
書かれたのが終戦の一年前。軍国主義の社会に反抗的だったという吉行少年のひりひりした絶望感が鋭く吐き出されている部分が印象的だ。
他の記事も吉行ファンには堪えられないムックとなっている。 特に吉行さんの最後を看取った阿川弘之さんの文章は、簡潔に臨終の様子を描写されていて、厳粛な気持になった。
愛用の万年筆はモンブランと書かれているけれど、もしパソコンの時代に吉行さんがおられたら、絶対キーボードを打っておられたと思う。 そういえる根拠は吉行さんが明朝体が好きだったことにある。
「吉行淳之介による吉行淳之介」(青銅社・1980年刊)には 『活字、特に明朝体の活字が、私はたいへん好きだ。あれは、書き手の文字の個性をいったんすべて取り払って、文体(内容といってもいい)の個性をゆっくり滲み出させる』とある。
また本にのめり込みそうだけれど、自分の作品を書かなければいけない。 金曜まで時間がない。
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