一日中、街は烟っていた。昨日より少し気温が低いとはいえ、犬と散歩していた彼には頬に当たる雨が、春雨のようにおもえた。散歩の途中、、「侘び助」が咲き出したことに気づく。緑の葉のあいだから、鮮やかな深紅が突き出していた。冬が崩れだしている。メールマガジンを配信した彼は、来週の題材を考えている。しつこいようだが、小説を早く完成して欲しい。今月は詩がまだ完成していない。夕方、ロンドンから素晴らしい笑顔の画像が届く。彼は何度も何度もそれをみつめていた。