散歩主義

2006年12月11日(月) ワーキング・プア

昨日、NHKの特集で放送され大反響をよんだ「ワーキング・プア」の「2」を見た。
たぶん最初の回と同じような反響を呼んだだろう。

「ワーキング・プア」とは当たり前に、あるいはそれ以上に働いているのに生活が立ちゆかない人たちのことをいう。

例えば母子家庭のお母さん、あるいは家族に病人を抱えた人、あるいは技術がありながら低賃金を余儀なくされている人などである。様々な理由で困難な老後を送る人もそうだ。
そういう人たちが急速に増えているのだ。

ニートなどと違うのは、みな必死になって働いているということである。
そういう人たちにかぎって、人の二倍から三倍働いている。
それで食べていけないというのはおかしい。
あきらかに社会構造がおかしい。

所得の再分配構造が消えつつある。
格差社会というのは勝ち組と負け組の物語ではない。一握りの高所得者と圧倒的な貧困層の社会である。

そして貧困が理由になり、機会均等がどんどん失われていくだろう。
日本の「一億総中流」というのは幻想に過ぎない。
これは世界的な傾向で、ドイツでは全人口の13%が貧困層になる恐れがあると指摘されている。

中南米で何故、反米左派政権が次々と「民主的に」生まれているのか。
貧困層がマジョリティ(多数派)だからである。
そして人々は何が貧困を生んでいるのか気づき始めている。
グローバル・スタンダードという名のアメリカン・スタンダードである。
富の集中システムが全世界をおおっているのだ。

民衆をあまりに虐めすぎるとそのしっぺ返しは必ずくる、ということだ。
だからといって反米左派が必ずしも全てではないと思うけれど
、すくなくとも社会保障を大切にした国家運営を国民は期待しているのだろう。
彼らは貧困を何とかしようとして、政権の座に着いたのだから。

翻って日本はどうか。
社会システムをなんとか変えていかなければならない。
働けど働けど…では、人が弱り、挫け、壊れる。
そして国そのものが弱体化していくのは目に見えている。




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