四条高倉の大丸六階の美術ギャラリーに日本画を観にいった。 今、「アートスポット」で竹林柚宇子さんの、「美術画廊」で河嶋淳司さんの展覧会がおこなわれている。
竹林さんの作品は「尖」の小品展でもおなじみの「ドングリヘッド」のヴァリエーションと新作「恋慕」の連作。 変わり続ける竹林さんだけれど、「指派」以降、また変わったとかんじた。
絵の精神性だとかはあまりいいたくないのだけれど、「恋慕」シリーズはいままでとちょっと違うぞ、とおもった。「熱を帯びている」「焦がれている」という言葉が浮かんだ。 どちらかというと透明度の高い絵、という印象の強かった竹林さんだけれど、いままでよりも熱が透けてみえたのだ。
河嶋さんの作品には驚いた。事前に竹林さんから「青猿」を是非、といわれていたのだけれど、初めて観てなんという「青」だ!!と動けなくなった。 それ以上にこれが日本画なのだということを完全に忘れていた。
意匠の鋭さ、パターンデザインの絶妙さを見せつけた琳派、あるいは大和絵の流れの中に、というかそれを踏まえて いわゆる日本画とまったく違う世界を作り上げている。 伝統を踏まえつつ、あえていえばポップである。シンプルで大胆である。 日本画というイメージ、あるいは枠というものが完全に踏み越えられていると感じた。
河嶋さんの作品ははアニマル・グラフィティ(動物の落書き)といわれているらしい。彪も、象も、シマウマもみな目を奪われる色彩である。 美大の先生が「目を洗われるような色彩」と形容していたけれど、まったく同感。 一緒に行った人がこの絵が部屋にあるだけで、もの凄くいい空間になるといっていた。 「青猿」がもし部屋にあったら、と想像しただけで部屋の全て、生活が変わるだろうとおもう。毎日、毎日、目が洗われるのだから。
竹林さんの小品はぼくの部屋にある。 そこを中心に部屋が、態度が組み立てられるというのはなかなかおもしろいもので、それは毎日、経験している。 もし「青猿」が、と想像しただけで楽しくなる。
日本画のイメージから逸脱していこうとする竹林さんの作品が、その先達ともいえる河嶋さんの作品と並んでいることに、なんともいえず縁を感じたのでした。
河嶋さんの絵は5日まで、竹林さんの絵は12日まで観ることができます。 無料です。
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