散歩主義

2006年11月11日(土) なにもかわらぬ日

昨晩は雷が鳴り響いて、何度か目が覚めた。
朝になっても雨は降り続き、なんどか小康状態になりながら午後も降り続く。

池波正太郎「食卓の風景」を読み終える。タイトルどおり「たべもの」が中心のエッセイだが、端々に生活の「肌理」が読み取れる。
さらに小説家としての「構え」や「手つき」も。
また、その「憑依型」ともいえる執筆スタイルに驚く。

それにしても池波さんの文章は何故、こんなに読みやすいのか。
「鬼平」や「梅安」ばかりではない。現代物も書いておられるので読んでみようと思う。

ポール・オースターの「ティンブクトゥ」も読み進めている。
詩人はつくづくアホである、とおもう。
詩を書いている自分に向かって、そう言っている。
(ミラン・クンデラ「生は彼方に」でもそうおもった)

しかしながら、それが「人というもの」なのかもしれない。
いずれにせよ、ぼくの涙腺が緩むのは犬に向けてのものであって、詩人に対してではない。

主人公の犬の後ろにある作者の視線をおもう。

…オースターが「物語」を素材のままで、取り扱おうとする姿勢に興味がある。「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」を読んでみたい。


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