二十三日の晩、ハナが再び倒れた。 前回よりも症状が重い。眼震が起きている。ふるえながら立つのがやっとの状態で歩き出すとひっくり返る。
土曜日で休診の医院が多い。しかも夜間である。 藁をもすがる思いでジャンがお世話になった獣医さんに電話をした。 すでに診療が終わっているにもかかわらず、快く応じてくださった。
医院に到着したときは九時を回っていた。 診察の結果、出血か梗塞かはわからないけれど、脳卒中であることは間違いないようだ。 対処療法を続けるしかない。 高齢でもあるけれど意識はしっかりしていて、これからは上手く介護をしていかねばならない。
帰ってからハナが大好きなピアノのソロをかけっぱなしにしている。 斉藤忠光さんのピアノである。何故だかわからないけれどジャンもハナも我が家にきてからずっとお気に入りのピアノである。 身体から緊張が抜けていく様子がよくわかるし、そのまま目をつむって寝入ってしまうのだ。
そういえば帰りがけに獣医さんがぽつりと言った。 「今日は、ジャン君の命日ですね」 そうなのだ。今日はジャンが亡くなった日で、家で咲き始めたプリンセス・モナコの花を、朝、写真の前に供えたのだった。
一段落したらジャンの写真に何と語りかけようか。
思案している。
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