散歩主義

2006年06月19日(月) 傷、物語

一日中、夏のような日が射し続けた。「もうすぐ夏至です」とラジオから聞こえていた。

自分がどのような傾向の小説が好きなのか、自分でもよくわからない。そんな大袈裟に考える必要もないのだが。とにかく何でも読む。
最近、古い小説をよく読んでいる。特に漱石と鷗外なのだけれども、どちらかというと鷗外に熱中している。

鷗外に限らず谷崎潤一郎のものでも好んで読むものは、さみしい男が歩いている場面が必ず現れる。
漱石もよく歩くのだけれど、鷗外や谷崎のような「蔭のある歩く姿」が、どうも好きなようだ。

今日は、車谷長吉さんの「赤目四十八滝心中未遂」を読んでいる。この人の小説は、(エッセイも)好きだ。
たぶんに自伝的な部分もあるのだろうけれど、「蔭」というよりも「傷」が生々しく見え、それが消えることがない。

流れ流れて、身体のまん中に大きな風穴が出来たような男。
それはまた「ぼく」でもあるぞ、と読んでいる。

車谷さんの文章が抜群にうまいという人もいる。独特の言葉遣いは播磨のものか。それともあてのない日々の中で読破されたという鷗外の影響なのだろうか。
もちろんぼくも文章に魅了されてしまっている。


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