もう寒くはならないのだろうか。油断できない。 気象台の桜の開花予想はだいたい当たっていたのだけれど、ここのところの冷え込みで開花が全然、進まない。
桜で有名なところもまだまだだし、うちの近所もちらほら程度。 嵐山に至ってはまだ咲いていないといったほうがいい。 鴨川の土手も咲いてはいるけれど、もう一息というところ。
ところが御所の桜だけはほぼ満開に近く咲いていて、これが謎。 車の排気ガスを浴びていないからなのか、土地がとても肥沃なのか原因は不明。 早咲きの桜ではないのだ。 おかげで今年は梅、桃、桜を全部そろってみる事ができる。
夕方、ハナと散歩に出る。 空き地のフェンス沿いに「犬の食べる雑草」が繁っているところがあって、近所の犬たちのほとんどがここで草を食べる。 ハナも胸やけ気味の時はよく食べる。細長い草で、それを何本か噛みちぎって飲み込んだあと、胃液もろとも全部吐き出す。あるいはそのまま飲み込むと腸の掃除になっているようだ。吐き出したあとはすっきりするのか、とてもご機嫌である。ただ人間と同じような嘔吐の音を出すので、道行く人には少し悪いなと思う。
今日、ハナはがつがつと草を食べていた。するとそこへデジタルムービーカメラ持参の若い男性がやってきた。 「もしもしすみませんぼくはR大学のものなんですけれど、ゼミに使いたくていろいろと取材しているんですけれどよろしいでしょうか」 「はあいいでいすけど」 「ありがとうございます」といってムービーカメラを回しながら質問をしてきた。 「好き言葉はなんでしょう」 「はあ!うーーーん。なんだろうね。うーん。そう『自由』」 ハナがさらに草を食べている。これは吐くな、と思い鞄からティッシュやら袋をごそごそと出す。 「えっ!『自由』!!!何故ですか」 「何故?」 「いえぼくも好きな言葉なもので」 「何故だろうねえ。高校のころから好きなんだよね」 ハナがうろうろしだす。 「ハナこっちによりなさい」 「ハナちゃんっていうんですか」 「うん」
うげぇーー、とハナが草を吐き出す。
「おおお吐きましたね」 「ああ、これは犬たちが食べる草なんだ」 「どの犬も?」 「どの犬も」 「みんな食べるんですか」 「うん」 「なんていうんですかね草の名前」 「え、雑草だよ」 「あ、雑草ですよね」
うげええ。ハナ最後の嘔吐。すっきりしたのか尻尾を振って歩き出そうとする。
「これで胃とか食道とかがすっきりするらしいんだ」 「へえ、お酒のあとの水みたいなものですか」 「うーん、いやあ太田胃散みたいなもんだよね」 「太田胃散」 「うん太田胃散」 「ははははははははははははははは」 「ははははははははははははははは」 「どうもー」 「じゃね」
なんのゼミなんだ。 謎だ。
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