犬と散歩していて、いろんな人たちと出会います。 今日は大学と古いお寺の間の道で遊んでいた、若い夫婦と子供さんが印象的でした。ゆっくりとしていて、にこにこしながら囁くように会話をしているんです。ごく普通の親子ですよ。遠くから見ていてもその雰囲気がとても良くて、近づいていくと男の子が子供用の自転車に乗って、その周りに親がいるのがわかりました。
かなり近づいても声が聞こえなくて、すれ違いざまに男の子と眼があったんですけれど、声がつまるぐらいかわいくて、思わず立ち止まってしまいました。フード付きのジャンバーを着ていて、そのフードが折れて、白い裏地がちょうど翼のように背中に貼り付いていたんです。おもわず「きみは天使なのかな?」と聞いてしまいました。
ご両親はにっこり。子供も。 ぼくもにっこりしてハナと坂道を下って行きました。
夜は「文庫本主義者」の旦那さんのスーツの採寸におつきあい。 個人で紳士服の販売をされる方がいて、この業界には店舗を持つ以外に、スーツケースと服地見本を持って顧客をまわっている方がおられます。 だから、すべてオーダー。もちろんありとあらゆる相談に乗ってもくれますが。
この業界は生地屋、仕立屋、営業とそれぞれ職人のプロがいます。そういう人たちがそれこそネットのような繋がりをもっていて、それはそれでとても面白い世界なのです。
採寸がすんで、紅茶とケーキでしばし歓談。彼が持参した生地はZENIYAの紺のヘリンボーン風。ZENIYAの生地は一級品で有名です。高価なことでも…。だけど素晴らしい生地でした。
いろいろと話をしていたら 「にしはらさん、『夕立三日』の彼女ってあえますか?」と。 実は、彼はぼくの作品を丁寧に読んでくれている読者の一人なのでした。 あ、あれは創作上の人物ですから、といったら、あー、そうかあ、と残念そう。
9月になくなったジャンの話にもなり、「光池」でグレートピレニーズというのを知りました、と。
いろんな読者の方がおられます。 こういうお話を聞くたびに、読んで頂いて本当に有り難く思います。 「光函」の読者の方に、いつも感謝の日々です。 そのことがぼくをまた創作の現場にすえる、原動力になっているのです。
彼が帰ったあと、そのようなことを噛みしめていました。
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