散歩主義

2002年10月24日(木) 自分を怖れるな。

BSで放送している「アクターズ・スタジオ」。監督、脚本家、俳優など映画制作ニにかかわることを希望する若者達を前に繰り広げられるインタヴュー形式の「トーク・ショー」。
今までも「創造の秘密」の一端を一流と呼ばれる人達の口から聞いてきました。
昨晩はどうしても見たかったのです。スティーブン・スピルバーグ監督でしたから。

恒例の「最後の10の質問」というコーナーで印象に残る次のようなやりとりがありました。
「天国で神様に会ったらなんと言われたいか」 「耳を傾けてくれてありがとう」。
また彼は「嫌いなタイプ」として「耳を傾けない人」といっていました。

これはその後のオーディエンスとの質疑応答で補強された考え方なんだけれど、つまり「人のいうことをよく聴け」というニュアンス(親のいうことをよく聴け、というような)ではなく、「心の声をよく聴け」ということなのです。

そこに「秘密」がある、と無言で目をキラキラさせながら彼は聴衆にアピールしていたように思えます。
自らの心から聞えてくる声に対する信頼は、繰り返された「自らを怖がるな」というメッセージにつながっていきます。

自らを「出す」ことを怖がるな、憧れの人になろうとしては駄目だ。君は君なんだ。怖れずに自分を出すんだ。
うまくいかなくても、挫けないで「自分であること、自分がなろうとしている自分」を諦めるな、というメッセージ。

「自らを出す」ということが「心の声」に耳をすますことだと。
そうでなければ「学べないだけでなく、飛躍のチャンスすら失う」とまで言いきっていましたね。

創造にかかわろうとするとき、あまりにも評価する側に自らを置いて、自分らしさを失うことがままあります。それじゃだめだよ、ということですね。
わかっていてもなりがち。
冷静に考えて見れば当然のことなんですが。回りの評価の前に自分を殺してしまっているんです。

いい言葉をいただいたきました。
ところで監督自身のいちばん好きなシーンは
「未知との遭遇」で少年が怪しい光が漏れてくる扉を開けて全身に光を浴びて立ち尽すシーンだそうです。
「怖れずに扉を開ける」 まさにスピルバーグらしい。創造の扉もかくあるのであろうと思わせるシーンだと思いました。


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