斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
β版
目次 | <<前へ| 次へ>>
2006年01月22日(日) |
戦略コンサルタントを廃業します |
一月末で戦略コンサルタントを廃業します。
僕は、これまで6年間に渡って、クライアントに悪知恵を出すことを生業としてきた。
廃業理由をありていに言えば、悪知恵を他人に授けるよりも、ビジネスの実行者になりたい、と思ったからだ。
先物取引やマンション投資の勧誘電話がかかってきたら「そんなに儲かる話だったら、どうしてあなたが投資しないんですか?」と切り返す、という人が多い。 僕の場合は、その逆で儲かる話は、自分でやりたい、と思う。
ずっとずっと思いつづけていた。
クライアントの影に隠れて、自分がビジネスの実行者にはなれない、という状況は非常に苦痛だった。 僕は、中途採用で、さんざん修羅場にも晒されたけれど、ビジネスの実行者としての面白さも知っているので、ビジネスの最も面白い、楽しい部分をクライアントに持っていかれる悔しさ。 俺様にやらせろ。
と、言っても起業するわけではない。 事業会社に移籍する。
コンサルタントの転職先は、経営企画室や投資銀行などが多いのだけれど、僕は違う。 実業の最前線の現場に立つ。
クライアントの受け仕事もやらない。 自分がビジネスの主体となり、自分でビジネスの企画を作り、実行する。 営業もやる。
責任もついてまわるけれど、僕の裁量範囲は大きくなる。
コンサルタントの転職先としては、かなり異色だろう。
でも、僕にとっては、元いた世界に戻るだけのこと。 そもそも僕が戦略コンサルタントであり続けたことほうが、変だった。 僕が戦略コンサルタントになった最大の理由は、僕の弱点が「戦略性のなさ」、「ロジカルな思考の欠如」である。 僕は、戦略コンサルタントに求められる能力が、自分に決定的に不足していることを自覚していた。 僕は、その弱点を補強するために、敢えて最も苦手とする能力を求められる戦略コンサルタントになった。 高額なフィーを貰う、というプレッシャーに晒されつづられる事が、弱点を矯正する最短距離だ、と考えたからだ。
そして、そのまま6年。
中途採用の戦略コンサルタントで、6年間も在籍する人はほとんどいない。 稀有なくらいに長い。 弱点を矯正するために戦略コンサルタントになった僕としては本末転倒。
コンサルタントを長くやり過ぎると、思考がどんどんと実業、現場から離れていく、ビジネスを抽象化しすぎるようになっていく、という焦りが大きくなっていった。 ここ何年かの僕は、コンサルタントを続けることによって、自分自身のビジネス能力が損なわれつつあるのではないか、という不安がどんどんと大きくなっていた。
そして、もうこれ以上は耐えられない、と思った。
現場に戻りたい。 参謀ではなく、前線の指揮官になりたい。 前線で先頭に立って、特攻したい。
僕は戦争機械だ。 戦争機械は、最前線の戦場じゃなきゃ満足できない。 僕は、司令室や作戦会議室に閉じこもって満足できる性格ではない。
僕は今月一杯で傭兵はやめて、来月から正規軍の特殊部隊で戦うことにした。
戦略作りは止めだ! 戦争やるぞっ!
目次 | <<前へ| 次へ>>
|