斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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クルマのバッテリーをはずして充電し、クルマを動く状態に戻した。 僕のクルマは放ったらかしにしておいた結果、バッテリーが完全に放電していた。
自宅にトリクル充電器もあるので、自宅で充電しよう、と思った。 バッテリーをはずして、自宅に持って帰ればいいじゃん。 サポートを呼ぶまでもないだろう。 以前、長期海外出張中にも同じくバッテリー上がりを経験しており、その際は、ローダー(クルマを乗せるトラック)に乗せられてディーラーまで運ばれる、という大げさな事になってしまった。 たかだかバッテリー上がりくらい、自分で何とかなるだろう。 自分で対処することにする。
実はこれが意外と大変なのであった。 僕はボンネットを空けて、バッテリーをはずそうと思った。 最近のクルマのエンジンルームはカバーが掛けられており、バッテリーがどこにあるのかもわからない。 僕はウィンドウウォッシャー液の充填以外の目的で自分のクルマのボンネットを空けることはない。 今時のクルマはボンネットを空けても、エンジンはカバーされており、何がどこにあるのやらさっぱりわからない。 エンジンカバーをはずすと、電気系統の配線だらけ。 クルマにはUSBとかFireWireという発想はないのか? 一対一で配線が繋がっているせいか、ケーブルだらけ。 ハブとかつけてTCP/IPで何とかしろ。
バッテリーを発見し、はずそうと試みる。 わからん・・・。 どうやったらバッテリーがはずせるのかわからない。 マニュアルを見る。
「ディーラーにお問い合わせください」とだけ書いてあり、バッテリーのはずしかたは書いていない。 それどころか、バッテリーの充電は危険なので、ディーラーにお任せを、と書いてある。 勝手に充電したら爆発するかもしれませんぜ、とまで書いてある。 バッテリーごときでディーラーに問い合わせるか!このバカチンが!
ボンネットを空けて、ごちゃごちゃやっていると、工具を持ったおっちゃんがやってきた。 僕の隣のクルマのボディーカバーを開ける。 何と、そこにはフェラーリ・ディノが現れた! 僕の隣はディノだったのか・・・。 僕が最も欲しいクルマの第一位だ。 自分でメンテできないし、実用性も限りなくゼロだろうから保有できるわけももない。 心の中で敬礼。 おっちゃんも僕と同じく、ミッドシップのエンジンルームを空けてごちゃごちゃやっている。 おっちゃんは、しばらくするとディノにカバーをかけ直して、向かいに停めてある別のクルマに向かった。 カバーをはずす。 ロータス・エリーゼ。 ディノは無理としても、何とかなるんじゃないか、というあこがれを持っているクルマ。 黒ちゃん(サーヤの婚約者)と同じ。 僕の欲しいクルマ一位はディノ、二位エリーゼ。 実用性と僕のクルマに対するスキルからいうと両方とも所有は難しい。 おっちゃんは両方持っているのか? また、エンジンを空けてこちゃこちゃやっている。 ディノとエリーゼ、クルマオタクのあこがれの人生だよな、と思いつつAudi TTのエンジンをいじくり回す。
正しくいじくっている、というよりもただエンジンカバーをはずして、配線とかを確認しているだけである。 適当にネジをはずしてみたり・・・。 おお、こんなところにオイルタンクがあったのか、レベル。 これが、ターボか、インタークーラーか、ふむふむ。 本来の目的を忘れて、エンジンのあちこちのネジをはずして、パーツを観察しては、ふーむ、なるほど。
本来の目的はバッテリーをはずしたいだけである。 超初心者級。 ところが、マニュアルにはバッテリーのはずし方が書いていない。 今時のクルマはバッテリーさえはずしちゃいけないのかよ、と思いつつ手探りであちこちをいじる。 エンジンルームの奥は暗い。 口にマグライトを咥えて、照らしながらエンジンの中を探る。 うーむ。 「エンジン」のキムタク気分。 アタマの中で勝手にエアロスミスが流れる。 エンジンルームは狭い。 「エンジン」のキムタクと同じく腕時計がじゃま。 腕時計をはずす。 クルマの傷どうこうの前に、腕時計があると、狭い場所に手が入らない。
探っているうちに手持ちの工具ではバッテリーがはずれないことに気付く。 手持ちのラチェットハンドルだと、バッテリーをはずすためのネジまで届かない。 どうあがいても無理。 しかたがないので、ラチェットハンドルの延長工具を近所のホームセンターに出かけて購入。 自宅近くには工具がたくさん揃っているホームセンターがある。 バッテリーをはずしたいだけなのに、何で特殊工具が必要なんだよっ、と思いつつ、ある種の趣味性もあるので、工具を購入。 ラチェットハンドルに延長工具を二つかませて、ようやくバッテリーをはずすためのネジに到達。 無事、バッテリーをはずした。 バッテリーをはずすだけのために、車載工具はおろか、メンテナンス用の工具キットですら対応できないなんて・・・、とは思いつつも何とかバッテリーははずれた。
が。 バッテリーは20Kgはある。 大きさはたいしたことがないのだけれど、すんごく重い。 バッテリーがこんなに重いとは知らなかった。 駐車場から自宅までは徒歩数分。 はあはあ言いながら何とか自宅までバッテリーを持ち帰る。
トリクル充電器に接続! と、思ったらバイク用の充電器なので、バッテリー側の端子が大きくて、充電器の端子が刺さらない。 しかたがないのでアルミ箔を使って、端子を作る。 こんなんで充電できるのか? 充電開始。
数時間経過。 充電が始まっていることはインジケーターで確認できるものの、充電完了の兆しなし。 1日経過。 変化なし。 2日経過。 変化なし。 3日経過。 ようやく充電完了。
バイク用の充電器でクルマのバッテリーの充電を行うと、3日もかかるのかよ・・・。 確かに携帯電話の数グラム程度のバッテリーの充電ですら数時間かかるのだから、20Kgのバッテリーの充電に3日くらいかかるのは当然かも。 バイク用の充電器だし、しかたがない。
充電完了したバッテリーを持って、はあはあ言いながら駐車場へバッテリーを持って行く。 バッテリーをはずした際に手順を覚えたので、取り付けは楽勝。 バッテリーの電極を試しに繋いでみたら、カーオーディオのラジオから音楽が流れ始めた。
生き返った!
エンジンルーム内の配線をきれいにし、ネジの増し締めを行って作業完了。 クルマのエンジンをかける。 見事にかかった。
何だかうれしい。 でも酔っぱらっていたので、運転はできない。
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