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2005年04月09日(土) 信念を持たないという信念

僕には、信念というものがない。
僕にとって絶対的な真理というものものない。
もしあるとすれば、「信念を持たないという信念」である。

僕は、何も信じていないというわけではない。
様々なものを信じている。
だけど、それが永遠のものだとは信じていない。
未来永劫続くとは考えていない。

僕は、全ては流転する、と思っている。
変化しつづける。
到達点などない。
輪廻の螺旋のなかで少しずつ進化は続くのだろうけれど、絶対的な真理に到達することはない。

特定のシステムが永遠に続く事はあり得ない。
ある時に最適であったシステムが、時間とともに最悪のシステムになることはごくごくあたりまえの現象だ。
数学や物理などの理系の世界では、真理はあるのかもしれない。
最適解は、存在するのだろう。
理系の世界で、真理が変化する、とする場合は、それがそもそも真理ではなかった、間違いだった、ということである。
それに対し、文系の世界であるビジネスや政治、思想、哲学、宗教の世界には、真理は存在しない。
その時代に、おかれた環境に適合した、最適解は存在するかもしれない。
だけど、それが未来永劫永続するシステムであることは、まずあり得ない、と思う。
そのシステムの寿命が長いが短いか、である。
いずれそのシステムは寿命を迎える。

僕は、すべては変化する、到達点などない、と信じている。
だから、僕は、変化を大前提として生きている。
環境は変化し続ける。
その環境の変化に対応し続ける、という事が僕の唯一の信念だろう。
固定化した信念を持たず、自分自身をも変化させ、環境に適応させる。

僕を知る人からは、僕は特定分野のプロフェッショナル、という印象をもたれている。
だが、それぞれの人が考えている「特定分野」はそれぞれバラバラだ。
僕は、他者からは、特定のイメージを持って認識される。
だが、そのイメージはバラバラだ。
僕自身が変化し続ける存在なので、僕と接した時期によって、他者が僕に持つ印象がバラバラになってしまうのだろう。

僕は、変化に適応することだけを信念として生きてきた。
そして、変化に適応するだけではなく、システムから逸脱することにも力を注いできた。
僕にとってのシステムからの逸脱は、僕が所属するシステムが、大きな変化に晒されたときに対する防衛行為でもある。
僕のようなノイズとも突然変異種とも言える存在が、システムの長期的な維持には不可欠なのだ。
僕は、ノイズであり、突然変異種でもあるので、淘汰の危機に晒されることは多い。
でも、僕はシステム内に存在する安全弁でもある。
システムが変化に晒されたとき、僕のような突然変異種の存在がキーになることがある。
僕自身は当初は突然変異種であったはずなのに、それが一般化される。
でも、僕は、そこから逃亡し、新たな変異を起こそうとする。
金や権力は、フォロワーにくれてやる。
当初、僕を批判し、淘汰しようとし続けてきた他者が、三周遅れでフォロワーとなり、金や権力を掴む。
それはそれで構わない。
僕は現状を超える金や権力に興味がない。
それよりも僕にとっては、新たな変異を起こし続けることのほうが楽しい。
金と権力を得たフォロワーは、僕にビールを奢るくらいの配慮は見せてくれてもいいいのではないか、とは思うけど(せめて僕の作ったパワーポイントを自分の作った資料だ!と言い張るのであれば、プロパティーくらいはいじっとけよ。オリジナルが誰だかすぐにわかるぞ)。

僕が変化を先取りしている、とは限らない。
ただの異物でしかないことがほとんどだ。

それでも僕は、ノイズ、突然変異種、異物であり続けようとする。
それは、システムを守るためでもあるし、自分自身を守るためでもある。
余裕のないシステムは僕を排除しようとする。
でもそれは、システムにとって、変化し続ける環境のなかにおける緩やかな自殺だ。
過剰なる特殊化、専門化、並列化は、変化に適応できない。

僕は、「信念を持たないという信念」を持っている。
僕は、全ては流動的であり、変化の途上でしかない、という認識のもと生きている。
だから特定のシステムや思想、教義に帰依しない。
僕がある方向に全力で突っ走っていたとしても、ある日突然、方向を変えることがある。
フォロワーの大きな流れは、そのまま僕が走っていた方向に向かい続ける。
だけど、僕は、方向を変える。
先頭を走っていた人間が、突如としてバトンをフォロワーに渡して、コースを外れる。

僕は一貫性などというものとは無縁だ。
矛盾だらけの存在だ。
熱しやすく冷めやすい、という射手座の性格のせいかもしれない。




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