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2005年03月01日(火) グリッド世界のコンピュータリソースの先物市場

以前から疑問なのだけれど、どうして半導体の先物市場って存在しないんだろう?
日本経済新聞の「商品」の項には、様々な先物商品の取引価格が出ている。
そして、同じ「商品」項に半導体の市況についても掲載されている。
半導体も先物扱いにすれば、いいのに。

半導体は、「シリコンサイクル」と呼ばれるとおり、需要と供給によって、価格が決まる。
大局的には、半導体の容量あたりの価格は下落するのだけれど、短期的には、需要と供給のバランスによって、上下動を繰り返す。
上下動を繰り返しながら、下落していく。
う〜む。
上下動はありつつも、向かう先は下落しかないから、空売りしか出ないので無理なのかな。
それよりもメモリとしての半導体は、物理的には全て同じ、というわけではないので、現物の商品市場には出せないのだろうか。

将来のグリッドコンピューティングな世界について妄想してみる。
世界中のコンピュータがそれぞれつながり、巨大なコンピューティング環境となっている世界である。

一般的にグリッドコンピューティングでは、CPUの共有について議論されていることが多いが、これはメモリについても言えるのではないか、と思う。
メモリの用途は、ざっくり分けると「溜める」、「ワークエリア」の二種類である。

「溜める」については、データそのものがどこに存在するか、による。
セキュリティーや使い勝手によって、ローカルにあるべきもの、ネット上に存在しても良いものがある。
「溜める」については、グリッドコンピューティング環境とは直接関係しない。

「ワークエリア」に関しては、グリッドで共有可能なのではないか、と思う。
限りなくブロードバンド化が進んで、通信の遅延がほとんどない、という時代がやってきたとする。
そうすると、「ワークエリア」としてのメモリ空間もローカルに存在する必然性はない。
グリッドとしてバーチャルにメモリ空間が存在すれば、ローカルのメモリが非力でも大きな処理能力を得られるはずだ。
グリッドでメモリを共有化して必要に応じて、必要なリソースを割り振ることができるのではないか、と。

と、するとそこには、やっぱりグリッド上のメモリ空間を売り買いする人たちが出てくるのだろうか?
企業によって、メモリ利用の繁閑期が異なっていたら、空いているメモリ空間を外販する。
グローバルに考えてみる。
早朝はパソコンの利用率は低い。
時差を利用することにより海外とのメモリリソースの融通できるかもしれない。
これって「エンロンモデル」?。

メモリの「溜める」ほうの役割も、セキュリティーや使い勝手を考えなければ、ローカルに溜めておく必然性はない。
有線系のブロードバンドの帯域幅は無限に高速化していく。
ファイバーを埋めていけば、いくらでも帯域を増やせる。
ボトルネックはルーティング技術。
無線は、有限の資源なので、何らかのブレークスルーがないと、高速化には限界があるが、有線通信に限って言えば、ほぼ無限に高速化されていく。
そうすると、データそのものもどこに存在しようと関係がなくなる。
無限に高速化されたブロードバンド環境においては、ローカルストレージの存在意義が変わってくる。

同時にメモリもフラッシュ、HDD、光のそれぞれが、どれも無限に近く低価格化を続ける。
CPUのムーアの法則は、いつまで続くのかわからないけれど、メモリについては、ムーアの法則をも超えた速度で大容量化、低価格化が続いている。

無限に高速化するブロードバンド環境、無限に大容量化、低価格化するメモリ。
データもワークエリアもCPUパワーもどこに存在していても変わらない。
グリッドの世界では、箱としてのコンピュータではなく、コンピューティング環境だ。

と、するとグリッドのなかで「帯域」、「メモリ」、「CPU」のリソースを市況商品として扱う時代がやってくる可能性がある。
モノとしてではなく、リソースとしての市況商品。
年度末の繁忙期には、コンピューティングリソースの市況価格は高くなる、みたいな世界。
某国の会計基準が変更されるから、コンピューティングリソースが高くなるぞ、とか。
コンピューティングリソースが高くなるから、先物でCPUとワークエリアを買いの予約をしておけ、とか。
グリッド環境における「オンデマンド」サービスの提供価格は、先物市場やオークションで価格が決定される可能性もあるのではないだろうか。

こういう議論がはじまるのは、何年後なのかなあ。




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