斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2005年02月24日(木) |
クローズドネットワーク再考 |
昨日、現状のSNSサービスの限界と、閉鎖系ネットワークについて書いた。
僕が思うにネットコミュニティーに対する議論は、あまりにもオープンに偏り過ぎているのではないか、と。 なんだかんだと言って、閉じたコミュニティーは重要ではないか、と思う。
僕の場合、自由な議論を行なうためには、コンサルタントとして機密情報を多く握っている立場上、コミュニティーへの参加者を限定せざるを得ない、という現実的な問題がある。 業務上、参加者を限定せざるを得ない。 社内で閉じたイントラネット上のコミュニティーであっても、当然、参加者は限定される。
次に、コミュニティーのレベルをある程度、高く保たなくてはならない、という理由もある。 コミュニティーのレベルの維持に関しては、「閲覧権限」と「書き込み権限」を設定する必要があるのかな、と思う。 読んでもらうぶんは、勝手だし、コピペだろうが、リンクだろうがどうぞ、ご自由に。 だけど、書き込みは制限する。 閉鎖系、イントラネット系のブログやSNSであっても、権限設定は必要だ。
僕がオクノ総研を「WEBLOG」と題しておきながら、コメントやトラックバックを装備した「正しいBLOG」システムに移行しない理由のひとつはそこにある。 僕のサイトは「一方的な放送型」であり、コミュニティー形式ではない。 BBSとメールでのやり取りは可能にしているが、オープンな場で議論しよう、という形式を取っていない。 最低限の環境は用意しつつも、僕のBBSは気軽にコメントを書ける雰囲気にはない。 読んでいる人にとって、BBSへの書き込みもメールも敷居が高いと思う。 オクノ総研が、正しいBLOGシステムに移行したとして、コメントに読者から本質的な事が書き込まれたとしたら、僕は、それに対して立場上、返答できない。 小泉さんの北朝鮮に対するコメントみたいに、もごもごとごまかした返答しかできない。
僕のサイトは、平均で一日に1,000アクセスである。 ユニークユーザーだと500人程度。 一時期は、アクセス数を増やしたい、と考えた事もあったけれど、今はそのような気はない。 この程度のアクセス数をキープできれば良いかな、と。 メジャーになってしまうと、僕が書きたい事を書きたいように書けなくなってしまう。 僕は、マスになってはならないのだ。
オクノ総研の原点は、イントラネットであり、閉鎖系のネットワークである。 閉鎖系のイントラネットからオープンなインターネットに移行するにあたっては、多くの制限があった。 他人から制限をされたわけではないけれど、オープンな場で情報を発信するにあたって、自分自身で制限を設けた。
何がなんでも守らなくてはならないのは、僕がコンサルタントとしてかかわっているクライアント、プロジェクトに「絶対に」影響があってはならない事。 僕の友人、知人に迷惑がかかってはならない事。 これだけは絶対に守りきらなくてはならない。
僕自身は、煮るなり焼くなり好きなようにされて構わない。 僕は、物理的に影響がおよばない限り(北朝鮮みたいに持って回った言い回しだな)、ネット上でのプライバシー情報なんて、どうでもいい。 これはブログを開設している人たち全員に言えることだ。 ブログを開設した時点で、自分がネット上でどのように扱われても構わない、という覚悟が必要なのだ。 もちろん、僕は、いざというときのために、それなりの防御策は取っている。 だけど、いつ攻撃に晒されるかわからない、という覚悟は必要だ。
僕は、ほぼ毎日、このサイトを更新し続けながら、本質的なメッセージを書く事ができないジレンマに陥っている。 僕の能力的な問題もあるし、職業上、情報を知り過ぎている、という事情もある。 僕は、世界中の企業の機密情報を知りうる立場にある。 マスメディアには絶対に報道されないような情報に、機密保持契約を締結したうえでアクセスできる。 知っているからこそ、書けない。 知らなければ、いくらでも好きなように書けるのに。
僕のリアルの姿を知っている人は、どうして「あのテーマ」について書かないんだろう、と疑問に感じる事が多いだろう。 書けないのである。 知りすぎているから。 知っている事、考えた事で、お金をもらって生活しているから。 旬なテーマであればあるほど書くわけにはいかない。 メシの種だから。 僕は、特定企業にカネで雇われたコンサルタントであって、ジャーナリストではない。 僕の文章を読んで、薄っぺらい内容だなあ、と感じる人は多いだろう。 僕自身が薄っぺらい、という事実もあるのだけれど、薄っぺらい事しか書けない、という現実もある。
書く場を持ちつつ、書けない、という現実は何気にフラストレーションが溜まる。 クローズドのネットワークコミュニティーが欲しいなあ、と切実に感じる。 閉鎖系のネットワークコミュニティーがあれば、もっと濃い事も書けるんだけどなあ。
ちょっと、言い訳ぎみ。
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