斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2004年08月13日(金) |
「外側」から見た富士通 |
「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 城 繁幸 (著)」を読んだ。 僕の家の近くには、富士通のビルがあるせいか、近所の本屋には5列平積み。 本の内容はいわゆる内部告発本。 富士通の裏事情が詳細に書かれている。 ただ、著者が若いペーペー社員だったと見受けられるせいか、「傍観者」としての愚痴本に見えた。
おかしい、と思ったらなぜ行動しない? 僕は、新入社員研修の最後の感想を書く際、ただ一言だけ「ち○かす」と、書いた。 おかげで、六本木の本社勤務だった僕は、川崎の研修センターに呼び出された。 僕は一歩も引かず、「お茶くらい出せや」とか「ここまでの交通費を出せや」とか「通常勤務が忙しいのに呼び出しやがって、残業代をよこせ」などと言った暴言を吐きつつ、ロジカルに研修の問題点を指摘してきた。 本当に会社を良くしたい、と考えるのであれば、退職してからではなく、在職中に書け!
でも、よくこんなに企業の内情を書けるなあ、と感心もする。 通常、企業を退職しても守秘義務はあるだろうに。 ここまで売れてしまうと、富士通としても訴訟を起こしにくいだろうから問題ないのかもしれないけれど。
僕は、以前、富士通が最大のライバルと捉え、かつ目標とする企業に在職していた。 また、仕事上、富士通の社員と接する機会も多かった。 富士通だけではなく、日立、東芝、NEC、IBM、ソニー、松下といった、IT系の企業との社員とのつきあいもある。
そのなかで、富士通社員は圧倒的に印象が悪い。 結構な人数の富士通社員と話をする機会があったが、僕は誰も好きになることができなかった。 正直、僕の中では富士通はつきあいたくない企業、ダントツのナンバー1である。
僕がコンピューターメーカーで営業をやっていたとき、富士通とのコンペになることが多かった。 その際、富士通は決まって、めちゃくちゃな見積もりを出していた。 僕が出す見積もりの10分の1、というめちゃくちゃな見積もりである。 これは、とりあえず仕事を受注してしまえば、後から追加でガンガン請求しまくれば良いという発想からきている。 そして、きちんと提案内容を検討していない、ということの証明でもある。 まじめに提案書を作ったら、どうやってもそんな見積もり金額は出てこない。
僕は、あるポータルサイトの仕事のコンペで、富士通に負けた。 富士通のめちゃくちゃな値引きに負けた。 クライアント曰く、提案内容では、比較にならないくらい僕のほうが上だったらしい。 でも、見積もり金額の差が極端に違う、という理由で僕は敗退した。 そして、半年後。 負けたクライアントから電話があった。 「富士通さんは、あれはプロトタイプを作るつもりの金額でした。今、作っているものもプロトタイプです。本番サイト構築のためにはXX億円必要です」と、言い出したらしい。 あり得ない話だが、僕が実際に体験した話である。 クライアントを半年間騙していたのだ。 クライアントは、怒り、「大変恐縮ですが」といって、僕にそのプロジェクトの仕切り直しを依頼し、僕が当初出した見積もり金額で仕事を発注してくれた。
IT業界では、富士通の「初期は安く受注して、後でガッポリ回収する」営業モデルは常識として誰でも知っていることである。
そして、僕は富士通との協業も何度かやろうとした。 オープンシステムの時代なので、IT業界での呉越同舟はよくある事。
が、僕が今まで接してきた富士通社員は全て「ゴーマン」だった。 交渉ができない。 100%自分達の意見を通そうとする。 富士通社員は「自分達は、技術、システム構築力、営業力の全てにおいてナンバーワンなので、お前らは俺たちの傘下に入れ」と。 サブコンストラクターでじゅうぶんだ、と。 僕もナメられたものである。 あのような不愉快な交渉は富士通以外では経験したことがない。 その、株価とも企業業績とも全く連動していない、自信はどこから来るのか? 結果として、僕の富士通との協業交渉は全て、破談となった。 交渉の余地がないのであれば、交渉などできない。 複数のプロジェクトで何回も同様の交渉を行なってきたが、全て同じだった。
富士通ってマジでやばい会社だと思うよ。
■内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊
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