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2004年06月18日(金) グレイヘア「パンク」コンサルタント

「グレイヘアコンサルタント」という言葉がある。
いわゆる年配でコンサルタント経験、ビジネス経験が豊富で、見た目だけで、信頼できそうなコンサルタントのことを指す。
実際の戦略コンサルタントのコンサルタントとしてのピークは30代後半なので、現実的にはグレイヘアコンサルタントは単なるボケ老人とか、単なる置物というか、クライアントとのミーティング時にとりあえず、何か一言、ポロッといかにも経験がありそうなハッタリ系の発言をしてくれりゃ、いいや、という程度の存在である。
戦略コンサルタントはアタマを酷使するので、グレイヘアになる年齢だと、コンサルティングの現場では単なるボケ老人扱いでもはや使い物にならない。

で、本題。

僕は、過労でぶっ倒れ、約2ヶ月に渡って会社を休んでいた。
休むに当たって、僕は考えた。
人生初の長期休暇なので、気合いを入れて休まなければならない。

そうだ!

髪の毛を染めてグレイヘアコンサルタントになろう。
グレイヘアではつまらないので、髪の毛をシルバーにしてみよう。
僕は、映画「タクシードライバー」でデ・ニーロがモヒカンにするかのごとく、髪の毛を染める事にした。

僕は早速ドラッグストアに向かい、シルバーヘアに染めるためのヘアカラーを購入し、染めてみた。
が、僕が想像していたようなシルバーにはならなかった、一度、髪の色を抜いてからでなければならないようだ。
もう一度ドラッグストアに向かい、最も強力な髪の毛の脱色剤を購入し、同じく使ってみた。
30分で僕の髪は見事な金髪になっていた。
超強力な脱色剤なので、そこいらのクソガキよりもずっと過激な白に近い金髪。
最終目的はグレイヘアであり、銀色にしなければならないので、今度はその金髪に、シルバーヘアカラーで染色してみた。

うーむ。

グレイヘアではない。
金髪が少し、銀色がかった程度。

鏡に映った僕は、パンクおやぢだった。
まあ、いいや、少なくともこれで、会社には絶対に出社できない。
金髪に髪を染めた戦略コンサルタントなんているワケないので、客先はおろか、会社内にだって立ち入れないだろう。

現に、僕の休暇中には、新入社員向け研修の講師だとか、政府の委員会への出席の依頼など、何度か仕事の依頼が入った。

僕は仕事の依頼が入る度に「髪の毛を金髪に染めているけどいいですか?」と尋ねた。

良いワケがない。

髪の毛を金髪に染め、ヒゲをはやしたパンクおやぢが新入社員に「社会人の心得」とかを話せるワケがないし、政府主催の委員会の政策論議になんて参加でいるワケがない。
ザマミロと思いつつ、僕は2ヶ月間をゆったりと金髪で過ごした。

街中での視線はごく普通だった。
もはや金髪など、ごく普通のことなのだろう。
近所の人の目も別段変わりはなかった。
休暇中に会社の人と飲みに行ったり、合コンに出たり、会社のパーティーにワザと金髪のまま出席してみたりしたが、あまり驚かれなかった。

くそっ。
もっと、嫌な目で見ろよ。
せっかく、ワザワザ社会人放棄を主張しているのによ。

会社のパーティーに金髪のままで出席した際も「全く違和感ないですね」とか「結構似合ってますね」と、いった僕の期待していた「冷たい目線」とは全く異なったコメントしか返ってこない。
パーティーの出席者は僕への対応は、普段と全く変わらなかった。
人によっては「別にそのまま仕事に戻ってもいいんじゃないですか?」などという僕の期待を思いっきり裏切るコメント。

僕の普段のイメージのせいか、金髪にした程度ではもはや誰も驚かないのであった。
ちょっと、というか、かなり残念。

現在は、仕事に戻っているので、「黒髪戻し」とかいう製品をつかって髪の毛を黒に戻している。
だが、黒に染色した部分が薄くなり、茶髪ぎみにはなりつつある。

また、長期休暇を取る事があったら、今度は金髪ではなく、もっと無茶苦茶な原色カラーに染めてみようとおもう。
オレンジとかピンクの髪にすれば、さすがにみんな嫌がってくれるかな。




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