斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2003年10月20日(月) |
気合と汗と不眠と下痢と胃痛にまみれないためのプロジェクトマネジメント |
僕の家のトイレにはプロジェクトマネジメントの本が何冊か置いてある。 プロジェクトマネジメント手法のPMBOKなどの解説書である。 トイレで読むのがふさわしいかどうかは別として。 トイレにおいておけば、少なくとも一日に何度かは目にすることになる。
僕はコンサルタントといっても、戦略系なのでITコンサルタントと違って、巨大プロジェクトをマネジメントすることはない。 たかだか数人程度の極小プロジェクトである。 「プロジェクトマネジメント導入プロジェクト」といった「プロジェクトマネジメントを導入するためのプロジェクトのプロジェクトマネジメント」みたいなややこしいことをするわけでもない。
ただ単にプロジェクトマネジメントに興味があるのである。 プロジェクトXみたいな、「気合と汗と不眠と下痢と胃痛にまみれたようなプロジェクト」は、傍目には感動的なのだけれど、自分としてはかかわりたくない。 僕としては、何事もなかったようにサクサクと進むプロジェクトが理想的。 サクサクと進んでいると、楽勝プロジェクト扱いを受けて、誰の注目も浴びないのだけれど、僕としてはプロジェクトはサクサク系のほうが良い。
若かりし頃の僕は、「気合と汗と不眠と下痢と胃痛」にまみれたプロジェクトを何度も繰り返していた。 当時の僕は、合理的なプロジェクトマネジメント手法など気にもかけず(っていうか存在を知らなかった)、「気合と汗と不眠と下痢と胃痛」で強引にプロジェクトを乗り切っていた。 小規模のウェブやデザイン系の仕事が多かったので、気合で何とかなったせいもある。
でも、きちんとしたプロジェクトマネジメントの体系を学んでいくと、プロジェクトは「気合と汗と不眠と下痢と胃痛」にまみれるべきものではない、という事が良くわかる。 本来のプロジェクトマネジメントとはきちんとした体系のなかで、行なわれるべきものなのだ。 しかるべきツールがあって、手法があって、体系があって。 気合で乗り切るものではない。
僕はプロジェクトマネジメントは決して属人的なものではない、と思う。 自己流の天才プロジェクトマネージャーと体系だった教育を受けた凡人プロジェクトマネージャーであれば、後者のほうが信頼できる。 小規模のプロジェクトであれば、自己流で何とかなるが、巨大プロジェクトになるときちんとしたプロジェクトマネジメントのツール、手法、体系がなければ、絶対に成功しない。 プロジェクトXなんかでは、どツボにハマっていくプロジェクトのほうが涙を誘うが、あれはプロジェクトマネジメントがうまくいっていないだけの話である。
実際、企業のなかではプロジェクトがどツボにハマり、メンバーが「気合と汗と不眠と下痢と胃痛」にまみれて犠牲になり、ぼろぼろになった末に何とか完了したプロジェクトのほうが賞賛を受けたりもする。
なんだかリーズナブルじゃないなあ。
■なぜプロジェクトマネジメントは普及しないのか http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20031019/1/
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