斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2003年10月10日(金) |
どうしようもないバックオフィスのサービス低下と官僚化 |
自分の勤務する会社に対する批判を公開の場で書くのは気が引けるが、最近はひどすぎるので書く。 僕の勤務する具体的会社名がどこなのかについては、このサイト上のどこにも書いていないので、会社としても文句は言えないはずだ。
僕の勤務する会社は、恐るべき勢いで官僚化が進んでいる。 官僚化と同時に後先を考えない一方的なリストラのせいで、バックオフィスのサービスレベルは落ち続け、しわ寄せは現場に押し付けられる。
月末になると、メールボックスに「○○のサービスは廃止します。今後は各自、自分でやってください。代替方法はありません」という趣旨のメールが届く。 それに前後して「○○サービスの担当者です。お世話になりました。本日で退職します」というメールが届く。
書くのもバカバカしい例。
僕は法務に見積書への捺印の依頼をした。 テープで綴じて割印を押すように作業依頼書を書いた。 見積内容のレビューは完了しており、ただの捺印だけなのに、1週間経っても返事がない。 クレームのメールを打つと1時間で、作業が捺印完了しました、との連絡がきた。 尋ねると捺印には5営業日かかるのだそうだ。 レビュー済の書類にハンコを押すだけだろ、どうして5営業日もかかるのか?
受け取りに行くと、テープで綴じていない。 単に表紙に捺印しただけである。 クレームをつけると、テープで綴じるのは法務の仕事ではない、別部門の担当なので、別途、別部門宛てに申請書を書いて、綴じてきてもらってくれ、という。 書類をテープで綴じる作業など、30秒もかからない。 テープで綴じたものを法務に持ってくれば割印を押すという。 だが、書類を綴じるテープは法務の担当者の机の上に載っている。 法務に言わせると、法務の業務は書類をレビューし、捺印するまでであって、テープで綴じることは法務の仕事ではないのだそうだ。 じゃあ、僕はコンサルタントなので、本来の業務であるコンサルティング以外の契約書や見積書を作ったりする仕事はやらなくても良いのか? 僕はクレームをつけて、その場で作業をやり直させた。
しばらく後に法務の責任者から全管理職あてに、「本来の業務」ではない作業が増え、「本来の業務」の遂行に支障を来たしているので、「本来の業務」以外の仕事は依頼しないでください、というメールが発信された。 例えば、バイク便で書類を発送してくれ、という依頼があるが、バイク便の発送の受け取りが勤務時間外になる場合もあり迷惑している、などと書いてある。 僕は、法務の責任者に「本来の業務」とは何かについて再考するよう、メールを打っておいた。
法務が契約を支援する部門なのであれば、契約が成立するまでが「本来の業務」の仕事のはずである。 ハンコを押すことが法務の仕事ではない。
僕は世界一官僚的といわれる企業に以前勤めていたが、ここまでアホではなかった。 バックオフィスの仕事は、現場が支障なく動くように支援することであり、現場の手を煩わせることではない。 現場はクライアントなのだ、という当たり前の意識がない。
上場企業として「(表面的かつ短期的に)収益を上げなければならない」の旗印のもと、長期的な成長を完全に放棄したとしか思えない施策が次々と実行されている。
単なる中止、削減、廃止。
代替策はない。
ただ単に不便になり、現場の負担が増え、企業としての競争力が落ちているだけである。
単純な中止、削減、廃止なので、短期的には定量的な効果が上がる。 代替策もないので、実行のためのコストはかからない。
僕は情けない会社だな、と思う。
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