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2003年10月02日(木) 音楽販売激減は当然の報い

世界の音楽売り上げが、10.9%減なのだそうである。

何だかんだといいつつも、P2Pファイル交換&MP3のせいだろう。

今まで、ずっとネットを無視してきた報いだ、ザマミロとも思う。

僕は、1995年頃に音楽ダウンロード販売の企画を持って市ヶ谷の某レコード会社に行き、出入り禁止を食らったことがある。

出入り禁止を食らった理由は簡単。
ダウンロード販売により、レコード店というリアルの販売網が崩壊する危険があったからである。
当時は、ブロードバンドでもなかったし、すぐに大きな影響が出るとも思えなかったけれど、ダウンロード販売、すなわち直販にレコード会社が手をだす、という行為そのものが問題だったのだ。
僕はタブーに触れてしまったのだ。

当時、僕はコンピューターメーカーに勤務していたのだけれど、そこでもパソコンのネット販売の是非がずっと問われ続けていた。
DELLが売り上げを伸ばしはじめ、脅威になりつつあった。
コンピューターメーカーは販売店網、代理店網を持っている。
ネットによる直販は既存の流通網の破壊行為と捉えられる危険があった。

今となってはネット直販は当たり前のことなのだけれど、当時はメーカーがネット直販をはじめることは、既存の流通網を破壊するかもしれない、という点で大問題であり、全てのメーカーは悩んでいた。

結果的に、多くのメーカーはネット直販に移行した。
苦渋の決断だった。
既存の流通網の利益を保護しつつ、ネット直販に移行するため、数々の策略を取った。
そのまま既存の流通網を温存したままでは、ネット直販のメリットは何もない。
既存の流通網には既存流通網にしかない、付加価値を持たせる必要があった。
モノを右から左に流すだけの流通業者はその時点で淘汰された。
血を流しながら、改革を行なったのである。

そんななか、音楽業界はひたすらダウンロード販売に背を向け続けた。
ウラではこっそり検討をしつつ、既存の流通網への配慮のために、手を出さないフリをしていたのではない。
タブーだったのである。
完全無視。

JASRACと音楽業界は、いかにして音楽ダウンロード販売を妨害するかに専念してきた。
来るべきブロードバンド時代に備えて、準備をしてきたのではなく、いかに妨害するか、が彼らのテーマだった。
世の批判をかわすため、絶対に売れないようなしくみのダウンロード販売サイトを立ち上げてみたりはしていた。
ネットで売れては困るのだ。
ワザと高額に、ワザと不便にせざるを得ない。

音楽はCDというアトムなメディアではない。
ビットなのだ。
僕は音楽そのものが聴きたいのだ。
音楽がデータでしかないのであれば、ダウンロード販売で何の問題もない。
僕は良くAmazonでCDを購入するけれど、ウェブでCDの注文をし、宅配便でCDが届き、MP3ファイルを生成し、CDはクローゼットの奥にしまいこむ。
MP3ファイルを生成したあと、CDを取り出すことはない。
だったら、最初っからMP3ファイルをダウンロードできれば、資源の無駄がなくなる。
リサイクル可能な再生紙のCDパッケージなどというアホなものもいらない。
宅配便のトラックが排ガスを出すこともない。
僕が休日の朝に宅配便の兄ちゃんに叩き起こされることもない。

CD屋はリスナーに対し、CD代に加えて、電車に乗ってCD屋に行くなり、宅配便で送料を払ってCDを届けてもらうなりの余計なコストをかけさせてきた。
でも、今はクリックひとつで、音楽が聴けるのだ。

お金を払って正当にダウンロード販売されている音楽を手に入れようにも、そのサービスは存在しない。
存在したにしても、ワザと不便にしてあったり、高額だったり、奇妙なプロテクトがかけられていたり。
音楽業界は音楽のダウンロード販売を拒み続け、ユーザーに不便を強いている間に、ユーザーはP2Pを知ってしまった。

音楽の売り上げが下がっているのは、当然の報いでしょう。
こんな事は10年以上前から、予想できたことだったのに。
怠慢を続けてきた音楽業界は救いようがない。
ファイル交換利用者を告発することが、対策ではないだろう。

■世界音楽売り上げ、10.9%減
http://www.zdnet.co.jp/news/0310/02/nebt_01.html




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