斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2003年05月30日(金) |
ソニーの数年後のビジネスモデルを勝手に想像してみる |
昨日はPSXのビジネスモデルについて勝手に想像してみたのだけれど、今日はソニー本体の数年後のビジネスについて勝手に想像してみたい。
言うまでもなく、ソニーは製造業である。 コンテンツや金融にも進出しているが、本業はあくまでもエレクトロニクス関連の製造業だ。 昨日書いたように、ソニーはきっとサービス志向を打ち出してくる、とは思うものの本業は基本的に製造業。 モノ作りである。
だが、今後、日本国内の単純な製造業、モノ作りは中国の発展により、どんどん苦しくなっていく。 日本の製造業にとって中国の脅威は強まることはあっても、弱まることはない。 日本の組み立て型製造業には未来はない、と言ってよい。 産業の空洞化がどうのこうのと言って危機感を煽って、抵抗をしても無駄。 サプライチェーンを最適化しまくってコスト削減をしたところで、中国の人件費や土地の安さには絶対にかなわない。 戦うだけ無駄である。 まあ、このままデフレが進行して、日本の人件費や土地が今の10分の1くらいまで落ちれば話は別だけど。
と、なるとソニーは最終組み立て工程はさっさと中国に移管し、基幹部品、高付加価値部品のみを日本で製造する方向に向かうしかない。 つまり、高付加価値の半導体、液晶といった基幹部品だ。 日本でしか作れないような高付加価値の部品群。 同じ半導体、液晶であっても汎用品は作っても意味なし。
オクノ総研の勝手な想像では、数年後、ソニーは日本の最終製品の組み立て工場は、みーんな、とっとと売っぱらうか閉鎖してしまうだろう。 みーんな中国移転。 日本に残る製造部門は半導体と液晶だけ。 しかも、高付加価値品のみ。
で、その高付加価値品として気になるのはPS3のエンジンである「Cell」である。 CellはPS3のリリース予定の2005年段階では、製造コストが高く、ゲーム用には出せないかもしれない、と噂されてはいるが、この「Cell」こそは将来のソニーを握る鍵である、と僕は勝手に想像する。
下記のCellに関する記事を読むと面白いことがわかる。
・Cellは極度にスケーラブルなアーキテクチャ ・PlayStation 3だけでなく、PDAからサーバーまで幅広い分野をカバー
この記事からCellはPS3だけではなく、ソニーの他の製品にも適用されことが予想できる。 CellはPS3だけのために開発されたCPUではない。 ソニーの全製品の戦略的基幹パーツなのである。
もっと、勝手に言えばソニーは自社製品だけではなく、他社にもこのCellを供給することも可能だ。 ソニーにはサーバー技術はない。 デバイスを作る能力はあっても、巨大で複雑なシステムを作る能力はない。 自分たちが対応できない領域に関しては、このCellをライセンスすることによってカバーするだろう。 ソニーがインテルになろうとしている・・・とも読めるのだ。
そして、OSはLinux。 Microsoftはソニーの最大の敵となる。
ソニーは全然儲からない最終製品の組み立てからは撤退し、Cellという高付加価値パーツで勝負する。 もちろん、ソニーというブランドで製品は出していくが、製品の組み立てからは撤退する。 製造業としてのソニーはCellを核とした高付加価値部品を中心とした企業に転換していくような気がするのだ。
そして、それに加えて、昨日書いたようにPS3とCellを搭載したデバイスを組み合わせたサービスモデルを展開する。 So-net、ソニーミュージック、ソニーピクチャー、スカパー、ソニー生命、ソニー損保、ソニーファイナンス、ソニー銀行。 ゲームを手始めに、音楽、映像、放送、そして、金融からはじめてサービス業を完全掌握する。
PSXはその野望に向けた予行演習。
あ、これは全て僕の勝手な想像。 僕がソニーの経営者だったら、こうするだろうな、っていうだけです。
全部ハズしてたりして。
■SCEIのPlayStation 3の心臓「Cell」の正体 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0529/kaigai01.htm
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