斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2003年02月08日(土) |
ホワイトカラーの仕事も中国移転 |
中国の大連市主催の投資説明会に行ってきた。 日本企業に対して大連に進出し、投資しませんか?という説明会である。 大連の市長ご一行様が大連の投資環境についての説明を行う。
高輪プリンスの会場は、中国だった。 通訳つきの中国語プレゼンテーション。
「▽☆#*□」(中国語) ↓ 「日本の皆さんこんにちは」(日本語) ↓ 「▽☆#*□」(中国語) ↓ 「中国共産党大連執行部の○○です」(日本語) ↓ 「▽☆#*□」(中国語) ↓ 「本日は尊敬する○○先生の尽力により・・・」(日本語)
YMOの増殖に出てくる、林家三平の中国落語ギャグを思い出す。 まさにあんな感じ。 偉大なる○○同志の功績を褒め称える話や来賓挨拶とかの儀式が延々と続く。 1時間ほどの儀式の後にようやく本論が始まる。 やっぱり中国である。 いくら開放政策をとっているといいつつも社会主義国。
投資説明会なので僕の出席目的も当然、投資。 でも、中国株投資のためではない。 日本のホワイトカラーの仕事を中国に移転できないか、という話が多くなっており、そのための情報収集が目的。
日本の製造業は既に中国にどんどん移転してしまい、あっという間に日本の製造業は空洞化してしまった。 中国人の人件費は日本と比較して圧倒的に安いのだからしかたがない。 日本の製造業は世界一の生産性、効率を誇る。 その世界最強の日本の製造業が中国の人海戦術方式に敗れつつある。
日本企業のリストラは工場の中国移転に代表される製造現場が中心なのだけれど、日本で本当に効率が悪いのはホワイトカラー。 製造業の効率性の高さとは逆に、日本のホワイトカラーの生産性は世界的に見ても低い。 なので、次のリストラ、中国移転ターゲットはというとホワイトカラー。 僕が画策しているのはホワイトカラーの仕事を中国で中国人によって代行できないか、という事。 そもそも日本のホワイトカラーの賃金は、海外と比較して高すぎる。 ホワイトカラーだというだけで、仕事そのものの付加価値が低くても賃金は高い。 ホワイトカラーの賃金水準が企業内で均一になっていて、仕事の難易度に応じた給与体系になっていないことにも問題があるのだけれど。
ソフトウエアの開発などは既に中国やインドへの移転が既に進みつつある。 ゲームの開発やアニメの制作のような人海戦術作業は中国向きである。 特にCG制作に関しては、クリエイティブではなく単なる労働集約型の肉体労働にすぎないので高い人件費の日本でやる意味など全くない。
僕はそれに加えて、総務、人事、経理といった企業のバックオフィスの仕事を中国に持っていく事を狙っている。 企業のバックオフィスの業務は一部の戦略的業務を除けば、何の付加価値もないので、人件費の高い日本に残しておく意味がない。
グループ企業を多く持つ大企業は、グループ内のバックオフィス業務を一箇所に集約する動きがある。 バックオフィスの業務はどこの企業でもほとんど同じなので、グループ企業が多いのであれば、一箇所に集約したほうが効率が良いのは当然。 業務によってはいっそのことアウトソースしてしまってもいい。
日本企業のバックオフィス業務は合理化の余地がかなりあるので、一箇所に集約して業務を共通化、合理化して、余った人はリストラ。 業務を一箇所にまとめて共通化したあと、一部の戦略的業務だけを日本に残し、残りの付加価値のない業務はそのまま一気に中国に移転してしまう。
なかでも経理業務は格好のターゲット。 経理業務は連結決算やグループ経営の浸透により、グループ企業内で統一する必要があるので、いち早くグループ企業内で一箇所に集約されつつある。 まずはグループ企業内を同じERPシステムで統一し、経理業務を共通化しつつある。
経理業務は数字が中心であり、会計処理もアメリカ帝国スタンダードになりつつあるので、言葉の問題も業務内容のギャップも他業務に比べれば小さい。 と、なれば経理部員の大半は日本人である必要も日本にある必要もない。 日本には戦略的な業務だけを残して、残りの労働集約的業務、システム化済の業務は中国に移転してしまえば良いのである。 システム化率の高い業務であれば、ネットワークでつないでしまえば、コラボレーションワークは容易なので、海外で業務を行っても何の問題もない。
日本企業のホワイトカラーは戦略的な仕事、付加価値の高い仕事にシフトしなければもはや生き残れない。 仕事が早いとか正確といった「優秀なワーカー」ではリストラ対象。 ま、今まで日本のホワイトカラーが甘やかされすぎてただけなんだけど。
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