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2002年12月27日(金) 京都中央信用金庫立て篭もり事件に思う

京都中央信用金庫立て篭もり事件の徳田衛一氏が逮捕された。
融資トラブルが原因らしい。

徳田氏の主張がウェブで公開されている。
http://www.seigi.jp/

−−−徳田氏の主張の要約−−−

借金の九億円はもともとは徳田氏の借金ではなかった。
当時の徳田氏はダイワの常務。
借金を九億円つくって前社長が夜逃げ。
会社の経営が立ち行かなくなった。
徳田氏は会社を解散させようとした。
そこで、京都中央信用金庫の理事長が言った。
「徳田氏が社長に就任し、個人保証してくれるなら五億円融資しても良い」
五億円あれば会社を建て直せる可能性がある。
徳田氏は社長に就任し、九億円に対する個人保証も受ける事にした。
しかし、融資は実行されなかった。
会社は倒産。
京都中央信用金庫は担保だけ横取り。
京都中央信用金庫は(゚Д゚)ウマー
裁判に訴えるも相手にされず、敗訴。
徳田氏ぶち切れ。

−−−ここまで−−−

今回の事件報道の文章を見ていると「身勝手な解釈」「劇場型」「自己中心的」「ビデオの自分に酔っている」「時折不気味な笑顔」「元全共闘」といった妙な形容詞が続く。
マスメディアの報道姿勢は明らか。
徳田氏は危険思想を持った粗暴犯でしかないのか?

あっという間に報道されなくなってしまったけれど、本当はもっと議論されるべき事件であると思う。
僕は真相が知りたい。
徳田氏の主張がどこまで正しいものなのか、現時点ではまだ真実を知りえない。
徳田氏は自分の主張を正当であるとの確信を持ったうえで、犯罪者になる覚悟をしたと思うけれど、主張が正しいのか正しくないのかの判断はまだできない。
徳田氏の「犯罪」はある種の思想犯。
戦略的に稚拙な部分はあるけれど(サイトの作り方、文章の書き方、ビデオでの主張のしかたはもっと洗練させたほうが良いね)。
徳田氏は全共闘くずれの犯罪者として批判されているが、僕はどうしても単純に批判する気にはなれない。
割り切れないものがある。
僕のケツが青いだけなのか?
来週以降の週刊誌および取り調べに事件の続報を期待したい。

今回の事件の原因のもうひとつの問題は間接金融における「個人保証」。
間接金融のしくみそのものにも問題があると思う。
大企業はどんどん間接金融から直接金融にシフトしてきているのだけれど、中小企業にとっては間接金融を活用した資金調達しか手段がない。
未上場の企業は、マーケットからの直接的な資金調達はほとんど不可能。
銀行からお金を借りざるを得ない。

間接金融で銀行から融資を得る際には「個人保証」を求められる事が多い。
株式会社であるにもかかわらず、経営者が自分の株式の持分を超えるリスクを払わされる。
本来の株式会社は、経営者(株主)が人生を棒に振るようなリスクを負うことはない。
株主代表訴訟によって経営責任を追求されることはあるけれど、個人保証などは本来、企業の経営とは何の関係もないことである。
だが、現実の中小企業の経営者は個人の自宅を担保に入れるなり、連帯保証人を立てるなりしてリスクを背負う必要がある。
仮に事業に失敗すれば、二度と立ち上がれない。
一生かかっても払いきれない借金を背負う事になる。
社会的にも抹殺されてしまう。

これでは、恐ろしくてベンチャー企業を起業しようとは思わない。
起業家はリスクを負うべきではあるけれど、リスクのレベルが違いすぎる。
リスクが大きすぎ。
一発狙いの思い切った事業計画を設定することはできず、コツコツと確実に積み上げていくような事業しか起こせない。
結果として、日銭稼ぎの小さなビジネスしか立ち上げられない。
シリコンバレー的な研究開発型ベンチャーの起業などは間接金融に頼っている限り、絶対に不可能である。

日本の中小企業の置かれている立場は、どうしようもなく弱い。
中小企業を資本主義社会のなかでの負け組み、と言ってしまうにはあまりにも残酷すぎる。
中小企業には資本主義の公正なルールさえ適用されない。

■犯行予告ビデオ映像
http://www.fnn-news.com/realvideo/sn2002122601_300.ram




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