自立日記
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2004年02月16日(月) 泣いてすがる俺

気にしないように気を付けて、プレゼントを渡すことに。
N子の好きなモンチッチだ。N子の、25才の誕生日プレゼント。

モンチッチは30周年だそうで。
モンチッチの小さなぬいぐるみ(キーホルダー)を買ったお店のおばちゃんがいうには、
480円のこれが、渋谷だったか原宿だったかで1200円で売れてるとかどうとか。
ヨリ目でこっちを見上げる顔が可愛い。N子も喜んでくれた。

モンチッチは、テントウ虫の着ぐるみを着ている。
N子はモンチッチの服を整えたり、帽子を被せたり外したりして喜んでいる。
自分の携帯に付いてるキーホルダーを見せてくれた。
キツネの格好をしたモンチッチがお気に入りで、小物入れも見せてくれた。
モンチッチって、N子に似てるよ。
やっぱり自分に似てるものを好きになるんだな。

「何も用意してなくてごめんね〜」だって。
チョコレートもなかった……がく。

俺はテーブル越しに、N子の手を触ろうとする。
N子はそれも拒否する。
俺はマフラーを落としたことに気が付いた。
N子は仕事場に忘れたんじゃないの?と意に介せず。冷たい。

エスカレーターで下がる。
俺はもう、無理に手を取って握る。頭を撫でたり髪を撫でたりする。
向こうは嫌がってるので、かなり不自然。
N子は人前でいちゃつくのが特に嫌いだった。
でも頭を撫でてもらって嬉しかったって言ってたことがあった。
後からでも、その時の気持ちを思いだしてくれればと思った。
とにかくその時は、思いの外N子に冷たくされて、
ものすごく焦ったし、たまらなくなってしまった。

N子は自分の好きなCDを買いたいと、ショップに行ってしまう。
なぜ、俺といるのに、1人で行動する?
少しでも時間を無駄にしたくないのに。
俺はきんぎょのフンみたいに、N子の後ろについて歩く。

「N子は何しに来たの?」俺は怒って聞いた。

「だから、愚痴を聞いてくれたお礼に、食事だけしに来たんだって。」

俺はふくれっ面でサッサと歩く。
いつもならN子は走って来て、俺の腕を取って組む。
でもN子は来ない。早足で付いて来てはいた。

本当にもうさよならの時が来た。
駅前のエスカレーターで、俺がN子に抱きついてしまった。

「N子……N子……」

「お願いだから泣かないで。」

改札の前でN子に抱きつく。

「N子、これあげる。」

ティッシュケースだ。
「こんなにたくさんわるいよ……」とか言いつつ、受け取ってくれた。
コレは、N子がチョコレートをくれた時のためのお返しのつもりだった。
でも、後で思い残すことがないように、渡しておいた。
少しでもN子と居られる時間を引き延ばせる。

「じゃあね。」

感きわまって、また抱きついてしまう。
何を言ったらいいか、わからない。
また会う約束をしておけばよかったと思う。
そこまで頭が回らなかった。
とにかく、もう会えないと思った。
泣きそうになる。
N子の名前を繰り返して呼ぶ。
N子は嫌がっている。

俺はトチ狂って、キスをしそうになった。
N子は拒否した。

「今日来たのは、そんなつもりじゃないよ。」

「うん、ごめん……ごめん……」

キスなんてするつもりじゃなかった。
N子は改札の奥に消えていった。
俺は、N子が見えなくなるまでその場に立ちつくした。
N子は一度も振り返らなかった。

---

きびすを返して、俺も去る。

人だらけの新宿。

悲しくなる。

心がからっぽ。

気持ちは高ぶっている。

N子は冷たすぎる。なんでこんなことをする……。

外の空気が冷たかったはずだけど、何も感じない。

目の前が真っ暗になる。見えないベールに覆われたよう。

気持ちが、ザクザクに刻まれたよう。

また悲しくなった。

N子と別れて、平気になったのに。


……この2年間で、neoはどう変わった?……

……うん。N子がいなくても平気になった。……


平気になんか、なっていなかった。


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