自立日記
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Hチャンは、日記では怒っていたものの、 反面、俺のことが怖かったんだと思う。 俺が大阪に来ている間、ずっと俺の日記を見ていたし、 Hチャンの日記を俺が読んだら、俺が怒ると思っている。 「道ばたでばったり会ったらどうしよう」って日記に書いてあった。 でもあの日記は当時、俺がどうやっても読めない場所にあった。
俺があの日記ページを発見したのは、 Hチャンのお兄さんのホームページのリンク集からだ。 インターネットアーカイブのキャッシュによると、 2002年の2月の時点では、過去のリンクが貼ってあった。 2002年の11月の時点では、新しいリンクが貼ってあった。 この間の事はわからない。でもあの日記は2002年9月だったから、 書かれてから2ヶ月くらいという、ごく早い時期に見つけられていたはずだ。 俺はリンクが貼られていたのに、1年以上も気付かなかったことになる。
俺は読んでも怒りはわかなかった。 俺は単に落胆しただけだけど。 今さら自分を正当化したくない。 しても別に心は癒えない。 自分を正当化することは、Hチャンを否定することに繋がるから。 俺はHチャンが好きだから、自分のほうを否定するしかない。 だから落胆するしかない。
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あの子は、俺にちゃんと別れを告げられなかったんだと思う。 会っているときは何遍も断られたけど、はっきりとは答えなかった。 それは俺があまりにプッシュしたからだと思う。 3年間友達だった関係を利用して。 そして、東京に独りで上京するというシチュエーションも利用した。
そういう、手段を選ばない方法を使ってもあの子を落とせなかったのだし、 俺はやれることはやったと思う。 だから、俺はどうやっても、Hチャンをモノにできはしなかったと思う。
Hチャンは変わった子だった。 でも身近にいた俺なら、なんとかなると思っていた。 でもついて行けなかった。 1ヶ月間も音信不通だったから。 だから俺はキレて、そしてそれに向こうがキレた。
別れ際にあんなに仲良くして、でも会えない時間があったら、 誰だって後ろ髪引かれる想いがあると思う。 だけどHチャンは逆で、俺ではなく別の男になびいた。 それは、俺への気持ちを確かめるためのものだったかもしれない。 ……それはまた俺の独りよがりか。駄目な癖だ。
俺は信じたい。 Hチャンの心の中にも、少しは俺に対する淋しい気持ちがあって、 ああいう別れ方を後悔していると。 ……いや、これも俺の独りよがりか。 でも、やっぱり信じたい。信じるのは俺の勝手だ。 …… …… ……
あの子は、俺を放置すると言って、 とうとう何も言わなかった。 言ったのは自分の日記でだけで、俺に対しては、何も。
それは、彼女の最後の優しさで、 彼女は大人で、 俺はわがままな子供で、 相手のせいにしたり、 嘆いたり、 喚いたり、呪ったりしただけだった。
俺は……情けない…… 俺は…… 弱い。
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