きままくらし

2002年08月12日(月) 曇り空

天気予報通りの曇り空、、今日は草むしり日和だ。朝から庭の草をむしってぽつんぽつんと考え事をしながら、、覚悟なんてなまやさしいもんじゃないよ、、昼まで連日の暑さに弱った草を素手でブチブチ引き抜いていたら、指先が黒くなった。
父の手を思う。いつも草むしりをしていた。指先がいつも黒く、つめの中にも土が入って、、よく働く人だと周りから言われていた。庭には雑草などなかった。何足ものわらじを履いていた人だった。

家庭的という言葉は昔はなかったと思う。父は言わば家長という立場の最後の人だった。家族は多分そんな父に、多少の疎ましさがあったのだろう。ホームドラマのような家庭を子どもは絵空事とわからず憧れるものだ。


終戦記念日のある8月は私には暗かった。8月15日には昼に必ず黙祷をした。多感な時期に予科練に入った父は戦争にも行き、それをずっと引きずって生きてきた。こうとしか書けない。

私にはなにしろ経験のないことだ。何か父がかけてきたものが崩れ去った時に、くるったとしかいいようがない。
苦しかった時代を忘れてはいけないのは判るが苦しかった時代は共有していたものにしかわかり得ない。

今、わたしは実家にいた時の波立ち荒れる感情を久しぶりに感じざるをえないことがとてもつらい。それはダレのせいなの?あのいつも妙な言葉と声で戦没者慰霊祭で「お言葉」を述べていた昭和という元号を冠した人のせいじゃないの?子どもの頃言葉にはださないがいつもそう感じていた。
私にはいつも奇妙としか思われないこの光景を一体いつまで見つづけるんだろう。(もう最近では意識して見ないようになってしまったが)

ぐるぐると回り続ける渦巻きのようなこどものころの思い出を草をむしりながら思った。


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