週末。そうると会う約束をしてた。 会える日の朝。あたしはいつになくブルーやった。
正直に言うなら。体調よくなかった。 疲れるといつも痛む親知らずが痛くてしょーがなくて。 そうるの前でもちゃんと笑える自信がなかった。
会いたい気持ちに変わりはない。 だって全然会えてないもん。会いたいに決まってる。 でも自分が絶好調じゃないときに会いたいと思うのは。 実はとてもずるくて卑怯でわがままな気がした。 だってあたしは安心するし。満たされるかもしれんけど。 代わりにそうるを疲れさせる可能性だって十分にある。
顔をしかめてばっかりで上の空なあたしと一緒にいて。 そうるが不快な思いをせーへんはずがない。
電話がかかってきて。「何時に行けばいい?」って聞かれて。 あたしはちょっと間を空けてから。「今日は会えへんかも。」って言った。 ドタキャンなんてありえへんあたしやから。そうるもびっくりしてた。
「なんで会えへんの。」 「・・・んとな。歯が痛いねん。」 「歯?あぁ・・・親知らず?」 「うん。今回はちょっとひどいねん。」
会いたいのになぁ。ちくしょう。 そう思いながら言ったら。そうるは言った。
「ひとりでおりたい?ひとりがいい?」 「そうじゃないならうちは会いたい。」
会いたいって言われるのは久しぶりな気がした。 こんなふうにストレートに言われること自体。 なんだかずいぶん長い間なかったような気がした。
いやもちろん。会いたいから会うんやけど。 今までだってそうやったはずなんやけど。 当たり前の言葉が。当たり前に嬉しかった。 言うのと言わんのとじゃ全然違うよなって改めて思った。
・・・うん。あたしだって会いたいさ。 でも今日は果たして会っていい日なのかしら。 そう思ったから。あたしはすぐには「うん」とは言えんかった。
「あたし・・・しかめっつらやで。たぶん。」 「ええよ。うちは気にせーへん。」 「痛い痛いって言い続けてばっかりやで。」 「ええってそんなん。なんぼでも言えばええし。」
いろいろ気にしまくりのあたしに。 そうるは「もー考えすぎ。」って言ってから言った。 「ええかっこせんでええって。そのままでええがな。」
その言葉が。ストンとあたしの中に落ちてきた。 歯は確かに痛いのに。痛いままやのに。 いつの間にか。あたしはすごい笑顔になってた。
ねぇそうる。なんか最近あんまり会えてへんからさ。 久しぶりに会うときぐらい最高のあたしで・・・なんて。 あたし自分の知らんところでもちょっと思ってたんやろね。
でも思い返せば。あたしはあんたとのこれまでで。 具合悪いことなんていくらでもあったっけ。 腰やら足やらあっちこっち痛んでた現役時代も含め。 あたまイタイだの、おなかイタイだの、いろいろあったはず。
そのたびにぶっさいくな顔してイタイイタイ言うあたしに。 あんたは飽きもせずにハイハイって付き合ってくれてた。 時にはうんざりして「知らんがな。」って言われたりもしたけど。 基本はいつも揉んでくれたり擦ってくれたりしたやんね。
そうやん。忘れてた。あたし。 こんなにも曝け出してきたんやった。 こんなにも支えてもらってきたんやった。
いいとこばっかり見せようとしなくても。 いいときばっかり一緒にいようとしなくても。 こうやってここまで続いてこれたんや。
何を今さら怖がるねん。あんたはそう言いたかったんかもしれんね。
「じゃあ今日は3割り増しでぶさいくやと思っといて。」って言ったら。 「うわ。そりゃだいぶぶさいくや。覚悟して行くわ。」って言いやがって。 またあたしはキィーって言わされて。あんたにゲラゲラ笑われて。 あぁこれや。これがあればいいわって思わされた。
ありがとね。そうる。あんたの優しさ届いたよ。 ↑ご期待に添えませんでしたら・・・悪しからず(苦笑)。 |