眠れない夜は。不意に訪れる。
時計の秒針が。やたらハッキリ時を刻む。 明かりを落とした部屋で。まどろみながら。 なかなか沈めない眠りの波に。ひとり漂いながら。
決まりごとのように。あたしはそうるの夢を見る。
あたしとそうるとは。くっついてた。 そうるがあたしをおんぶしてくれてた。
2人で夜の田舎道を歩いてた。 茶色い土と。青い草の匂いがした。 ぼんやり明るい光は。たぶん蛍やった。 人工音がなくて。澄んだ空気の音がした。
魂が浄化されるような。不思議な感覚。 そのすべては。なぜか泣きたいほど懐かしかった。 そんな場所に。あたしは愛しい人と一緒にいた。
苦しくて苦しくて。軽い眩暈がした。
あたしをおんぶするそうるの手。 隙を見ては。あたしのおしりをくすぐる。 そうるにおぶさるあたしの手。 大好きな髪の毛をくしゃくしゃにする。
そうるの顔は。いたずらそうにニヤニヤしてる笑顔。 あたしの顔は。そうるの髪の香りに酔いしれてる笑顔。
夢やのに。五感を通して愛しさが溢れ出す。 幸せやのに。幸せやから。耐え切れずにわざと目を覚ます。
どうしよう。こんなにも会いたくて。どうしよう。
ねぇそうる。たぶんあたしは無意識に思ったんだ。 最近会えてないあんたに。声しか聞けないあんたに。 たとえ夢でもいいから会いたいと。潜在意識で思ってたんだ。
出てきてくれて嬉しかった。会えて嬉しかったよ。 夢ならではの設定の中で。あたしはあんたを感じられた。 でもね。同時にすっごい苦しくなったのはどうしたらいいの。 うまく息ができなくなったのはどうしたらいいの。
キレイすぎる世界は。実際にはありえない。 切ないほどに憧れるけど。現実にはありえない。 だからなのかな。こんなにも締め付けられたのは。 手に入れられないものがそこにあったからなのかな。
だってそこにいたあたしたちは。永遠に見えたもの。 お互いにはお互いだけがいればいいって感じで。 どこまでも2人で歩いて行くように見えたもの。
苦しいよ。そうる。また余計なことを考えすぎてしまうよ。 ↑無理してないつもりやけど。無理してるってことやろうか。 |