今日は。平日にも関わらず。そうると1日デートした。 そうるの研究室の教授が。学会で東京に出張で。 あたしの研究室の教授は。朝から病院の外来に出てて。 たまにはええよなって感じで。2人してサボってみた(苦笑)。
「せっかくやし。どっか出かけようや。」 「そうやな−。たまには県外に出よか。」 「てゆーか。たまには電車で出かけへん?」 「極端やなー。まぁええよ。行こか。」 「やったー☆イコカで行こかー☆(笑)」 「・・・あほ(苦笑)。」
そんなあたしの提案で。2人で京都に行ってきた。 関西人のくせに。あたしは京都はあんまり詳しくなくて。 「よっしゃ。京都なら任せとき。」って言うそうるに連れられて。 (そうるは京都に住んでたことがあるのね。) お寺や神社をいくつか回って。のんびりした1日を過ごした。
まず行ったのは。駅からすぐってことで本願寺。 あたしのおじいちゃんの遺骨が納めてあるんやけど。 京都へ行ったら。あたしはまずここに向かう。 近くに来たってことで。顔を見せるつもりで。
おじいちゃんのことを思い出すと。いつも胸が痛む。
あたしは。おじいちゃんが大好きやった。 でもあたしは。おじいちゃんの最期に立ち会えんかった。 最期だけじゃない。おじいちゃんの容態がどんどん悪くなったとき。 大学受験直前やったことを理由に。あたしはお見舞いに行かんかった。
無事合格して。落ち着いたら会いに行こうと思ってた。 おじいちゃんがいなくなるなんて。全く考えてなかった。 身近な人の死を経験したことがなかったあたしは。 人の「死」ってものを。どうしてもリアルに捉えられんかった。
大学の合格発表の前日。おじいちゃんは逝ってしまった。 目の前が真っ暗になった。びっくりしすぎて涙も出んかった。 そして次の日。合格発表で。あたしは志望校に落ちた。 ダブルショックで。もう本気でおかしくなりそうやった。
あのときほど。自分を責めたことはない。
自分の都合を優先させて。身内の死も看取れんような。 そんなヤツが医療技術者になろうなんて。きっと間違ってる。 本気で会おうと思えば。どうにでもして会いに行けたはずや。 いろんな理由をつけて。結局は少し面倒に思ってたんや。 なんて醜い思考やろう。なんて汚れた心やろう。
お葬式の間中。あたしはずっと下を向いてた。 おじいちゃんに合わせる顔がなかった。 棺の中のおじいちゃん。久しぶりに見るその姿は。 眠ってるかのようで。ほんまに穏やかやった。 でも頬に触れると。凍りつくように冷たかった。 もう死んでしまったことを。あたしは指先で思い知った。
もう何も伝えられん。もう何も聞かせてもらえへん。 そう思ったら。どうしようもなく怖くなって。涙が溢れた。 会いに行かんかったことを。心底悔やんだ。
人は人生において。いくつか闇を抱えると思うけど。 あたしの心に。あの春の日は大きな影を落としてる。
そうるには。この話をしたことがあった。 やっぱり黙って聞いてくれた後で。 「きっとその気持ちは伝わってるって。」って。 優しいことを言ってくれて。あたしを泣かせた。
だから。本願寺に行きたいって言ったあたしに。 そうるは何も言わずに付き合ってくれた。 ちょっとしんみりしてるあたしの横で。 「初めまして。おじいちゃん。」って言って。 手を合わせるそうるの姿は。ちょっとかわいかった。
おじいちゃん。ほら見て。 この人が。あたしの最愛の人やで。 あほやけどね。かっちょいい人やねん。 冷たいけどね。優しい人やねん。 むかつくけどね。尊敬できる人やねん。 この人に出会えて。あたしは幸せに生きてるで。 いつも見守ってくれて。ほんまにありがとうね。
届け届けと祈りながら。あたしはおじいちゃんに呼びかけてた。
本願寺から出たところで。そうるはあたしの手を握ってくれた。 そうるから手をつないでくれるのは。ちょっと珍しくて。 あー久しぶりの感覚やなーと思って。嬉しかった。
清水寺。高台寺。それから八坂神社。 そうるはずっと。あたしと手をつないでくれてた。 バイクに慣れてるあたしたちが。ゆっくり並んで歩く。 普段はあんまりないことやから。すごい新鮮な時間やった。
歩くのが早いそうるが。あたしに合わせてくれる。 遅いあたしが。そうるに合わせてちょっと大股で歩く。 なんかそーゆうちょっとしたことが。くすぐったかった。 バイクで背中を抱き締めるときより。密着度は少ないけど。 つながれた手からは。そうるの体温がダイレクトに伝わってきて。 あたしの体に染み渡って。優しい気持ちにさせてくれた。
流れていく景色のスピードは。いつもと全然違ってた。 ちょっと紅葉した京都の景色。あったかい日差し。 隣には。八つ橋をつまみ食いしてにんまり笑うそうる。 たまにはこーゆうのもいいなぁって思った。 なんか穏やかで。幸せな1日やった。
ねぇそうる。今日はなんか。のんびりできてよかったね。 熟年カップルのように。まったりした時間やったやん(笑)。 スピードを出すことに慣れて。飛ばしまくりのあたしたちやけど。 たまにはこうやって。2人で手をつないで。ゆっくり歩くのも大事やね。
最近感じたこと。考えてること。くだらんこと。 何でもいいから。とりとめもなくしゃべりながら。 紅葉を見上げて。青い空を見つけて。秋を感じる。 そーゆうのって。最近やってなかったからさ。
なんかね。この前のバイクも幸せやったけど。 今日並んで歩いたのは。もっと幸せに感じられた。 あたしの話を聞いてもらえた。あんたの話を聞けた。 それだけのことやけどね。嬉しかったんよ。
ありがとうね。そうる。また手をつないで歩こうね。 ↑これで何か思い出した人は。この日記ツウってことで(笑)。 |