試合の日のそうる。大好きなそうる。 忘れたくなくて。心に焼き付けたくて。 あたしは。ずっとその姿を目で追ってた。
たぶんしばらく。あんなそうるは見られんから。
そうるは。いつもと何も変わらんかった。 それは。よく考えれば当たり前のことやった。 いつだって冷静なのがそうる。落ち着いてるのがそうる。 あたしみたいに。感情に飲み込まれたりなんかせんくて。 ただひとつ。自分のやるべきことをちゃんと分かってる。 そんなそうるは。この日もやっぱり健在やった。
なんでこの人は。こんなにも普遍的なんかなぁって。 そうるを見てると。尊敬を通り越して不思議になることもある。 でもたぶんそれは。そうるの性格とかもあるんやろうけど。 あたしとしては。元キャプテンの名残かもなぁと思う。
チームの中のエースが。精神的動揺なんて見せるもんじゃない。 そうるはいつだって。誰よりもそーゆうことをよく分かってる。 それが。そうるがみんなに愛される理由かもなぁとも思う。 まぁもちろん。もともと強気で負けず嫌いってとこもあるけど。 自分がチームに与える影響力の大きさを知ってるからこそ。 どっしり構えて。大丈夫やって笑って見せる。それがそうる。 悔しいくらいにかっちょいい。あたしの最愛の人。
試合中のそうるとは。いくつか絡むプレーがあった。 アイコンタクトを交わしてのプレー。指示して指示されてのプレー。 今までも何度もやってきたことやけど。その楽しさを改めて感じた。 うまくいったときの最高の喜び。してやったりという誇らしさ。 ミスって罵声を飛ばされるときの痛み。溢れまくる「ちくしょう」って気持ち。 全部全部。あたしにとってはかけがえないものやった。
そしてもちろん。独走していくそうるのプレーには。 いつもながら。泣きそうなくらい胸が熱くなった。 走って。ボールをもらって。どんどん加速していくそうるは。 なんてゆーか。ほんまに風のようやった。 自由で。楽しそうで。自信に満ち溢れてて。 眩しすぎて直視できん光のようやった。
やばいくらいかっちょよかった。惚れ直した。 あたしにはやっぱりこの人しかおらんって。再確認した。
試合が終わって。みんなで写真とかを撮ってるときに。 あたしはぼんやりと。去年のことを思い出してた。 (日記にも書いてました。こちらです。) 最終戦の後で。そうるが胴上げされて秋の空に舞ったこと。 その後で。みんなの輪から離れて。そうるがひとりで泣いてたこと。 ひとつひとつを思い出して。ちょっと感傷的になってた。
今年1年は。キャプテンの任からは解かれたそうるやったけど。 その微妙な立場から。また別のしんどさがあったみたいやった。 口出ししたくなるけど。現キャプテンの立場を尊重せなあかん。 でもやっぱり。いろんなことに気づくだけに言いたくもなる。 そうるの中で生まれてたジレンマ。あたしはちゃんと気づいてた。
「あーでも。うち絶対口出しすぎ。うるさすぎ。」って。 珍しくたまに愚痴ってきては。へこんでるそうるに。 「そんなことないって。あんたは必要とされてるんやから。」って。 ありきたりのことしか言えん自分が悔しかった。 でも。思い上がりかもれんけど。誰よりもそうるを分かってるつもりやった。 支えたなんてえらそうやけど。ちょっとでもラクにしてあげられたらと思ってた。
気づかれてないと思ってた。当たり前のことにされてると思ってた。 でも。そうじゃなかった。そうるはやっぱり。さすがやった。
試合後。まひろとはつねが買出しに行ってて。 ちょっとだけ。そうると2人になれる時間があった。 グランドの隅に座って。ストレッチしながら話してるときやった。
「今年1年は早かったなあ。ほんまに。」 「そうやなぁ。あっという間やったなぁ。」 「まぁラクっちゃラクやったけど。うるさい上回やったと思うわ。」 「いやいや。あんたはよく抑えてた方やと思うで。お疲れ。」
そんなふうに。そうるをちょっとねぎらったら。 チラっと顔を見られて。やっぱりちょっと笑われた。 久しぶりに。あたしだけに笑ってくれた顔やったから。 なんかちょっとドキっとさせられてたら。 その後で。予想外の言葉をもらった。
「いやーでもまじであんたがおってくれたからや。」
びっくりした。ちょっと耳を疑った。 こんなストレートなセリフを。言われるなんて思ってなかった。 顔を上げてそうるを見つめたあたしは。相当変な顔をしてたと思う。
そうるは。そんなあたしの横で。淡々とやけど言ってくれた。
元キャプテンやってことで。必要以上にうるさいことを言いそうになって。 実際言ったとしても。抑えて言わんかったとしても。 そうるの中には。モヤモヤした気持ちがいっぱい残ってたらしい。 どっちに転んでも。それなりの悩みがあったらしい。 でも。そーゆうのをあたしに話したことで。 「大丈夫やろ。」って言葉をあたしからもらったことで。 少なからずそうるは。救われた部分があったんやって。
知らんかった。ちっとも知らんかった。 そんなふうに思ってくれてたなんて。 あたしがそうるを救えてたなんて。
「ありがとうな。」って言われて。ぶわーって涙が出てきた。 違う。ありがとうを言いたいのはあたしやって。 あたしこそ。あんたがおったから続けてこれたんや。 あんたと一緒やから。もっともっとがんばりたいと思えたんや。 そんな気持ちを伝えたかったけど。あんまり言葉にならんかった。 あげく。頭をポンポンってやられて。もう胸いっぱいになってもた。
ねぇそうる。あたしはいつもあんたにしてもらうばっかりで。 あんたに何かできてるなんて思ってなかった。 そーゆうのは思い上がりやと思ってた。勘違いやと思ってた。 でも。たとえちっちゃなことでも。あたしはあんたを救えてた。 その事実が。何よりあたしには嬉しかった。 そしてそーゆうのを。ちゃんと言葉で伝えてくれるあんたを。 さすがやと思った。見習いたいと思った。
あたしはさ。気持ちこそいっぱい抱えてるものの。 いざ言葉にしようとすると。照れたり悔しがったりして。 思いをそのままあんたに伝えることが。めちゃめちゃ下手やと思うねん。 何を強がってるんやと自分でも思うんやけど。 この強い愛情が。どうしてもあんたの負担になると思ってもたり。 その結果あんたに嫌われることになったらどうしようと思ったり。 余計な心配をしまくりで。ちっとも素直になれへんねん。
でもあんたは。普段ちっとも優しい言葉をくれへんくせに。 いざとなったら。ほんまにシンプルに。あたしに気持ちを伝えてくれる。 普段あんなにも憎たらしい笑顔しか見せんくせに。 いざとなったら。ほんまに柔らかい笑顔をあたしに向けてくれる。 ずるい。そう思うけど。でもきっとそれがあんたのいいところやと思う。 そしてあたしはきっと。あんたのそーゆうところに惚れたんやと思う。
ありがとうそうる。あんたの言葉はほんまに嬉しかった。 だからあたしも。もっともっと素直になりたいと思った。 大好きなあんたに。まっすぐに好きって言えるように。 溢れ出すあったかい気持ちを。ちゃんと伝えられるように。
あぁそうる。あんたはやっぱりかっちょいい。 プレーにしても。考え方にしても。やることにしても。 なんかあまりにもかっちょよすぎて。胸が熱くなる。 こんなにもあたしを。感動させてくれてありがとう。 こんなにもあたしを。幸せな気持ちにしてくれてありがとう。
そうる。あんたの姿。言葉。思い。全て。あたしは忘れないからね。 ↑2人して笑ってもた。よく見てるねー君たち(苦笑)。 |