今日は。そうるが練習に来た。
この前の練習のとき。勉強に集中したいって言って。 しばらくは練習を休もうと思うって話してたそうるやった。 あたしはそれで。しばらくそうるに会えんくなるんやって思って。 けっこうガタガタにへこんだりして。大変やったんやけど。
でも。昨日の甲子園の帰りに。そうるはあたしに言った。 「明日は行こうと思うから。持ってきてくれる?」って。 (↑ラケットもどきのことね。)
そう来たか。なるほど。さすが気まぐれそうる(苦笑)。
「しばらく休むんじゃなかったんかいな。」って。笑ってやろうかと思ったけど。 そうるの気持ちがなんとなく分かったから。聞くのはやめといた。 そんなあたしの代わりに。まひろとはつねは笑ってて。 「どっちやねん。ほんま。」「まぁええやん。おいでおいで。」 そんなふうにそうるに言ってて。そうるも苦笑いしてた。
勉強に集中とか言いつつも。やりたいもんはやりたいんよね。 やらなあかんことが目の前にあっても。迫っていることでも。 それを放り出したくなるぐらいのやりたいことがあるんよね。 分かるよ。そうる。だってあたしもそうやもん。
なーんや。あたしだけじゃないんや。そうるも同じなんや。 そう思ったら。初志貫徹しきれんそうるが。なんか嬉しかった。
最愛の人は。別によく出来た人間じゃなくていいって思う。 あたしは。そうるのことを認めてるし。すごいところをいっぱい知ってるし。 やらなあかんところでは。真剣になってやり通せるそうるを知ってる。
でも。完璧な人間なんて味がない。ダメなところがいっぱいあっていい。 情けないところとか。弱いところとか。隠さずに見せてくれていい。 もしそれで幻滅したとしても。あたしはそれだけで終わらんもん。 そんなことぐらいで。そうるをキライにはならんもん。 その程度の愛なら。こんなにも胸を焦がしたりはせんもん。
練習に現れたそうるは。楽しそうに走り回ってた。 「あかんわー。なんか今日ヘタクソやしー。」とか言って。 ミスするたびに。ブツブツ自分にキレてたりもしたけど(苦笑)。 なんかそーゆうとこも。もう全部かわいくてしょーがなかった。
練習が終わって。さて帰ろうかーってなったときに。 後輩がみんなしてそうるのバイクに群がってた。 「かっちょいいなー。」「いいないいなー。」「乗りたいー。」 口々にそう言ってる後輩たちに。そうるは笑いかけてた。 「いつでも乗せたるで。前のバイクよりも乗り心地ええはずやし。」 浮かれた後輩たちは。それでキャーキャー喜び始める。
そうるはやっぱり。みんなにとってはかっちょいい先輩みたい。 それは前から分かってたことやし。別に今さらやけど。 でも。でもでも。なんかそーやって盛り上がってるとおもしろくない。 だってその席は。あたしの大事な席やのにさ。 そんなに簡単に。誰でもかれでも乗せんとってほしいのに。
ひとしきり盛り上がった後輩たちが帰った後で。 帰ろうとせず。でも何も話そうとせず。そうるのそばにおるあたしを。 そうるはチラっと見て。またいつもみたいに笑う。
「・・・なんやねん。」 「・・・もしかして嫉妬?(苦笑)」 「あほか。調子乗んな。誰が妬くか。」 「ほー。まぁええけど。さて誰から乗せよっかなー。」 「・・・・・・・・・・・。ふん。」 「・・・あんたほんまに素直じゃないな(苦笑)。」 「もーうっさい。ほっとけ。」
そうるはどこまでも。にやにやしながらあたしをからかってた。 もうそーゆうのには慣れてるけど。やっぱりあたしは悔しかった。 後輩にも愛されてて。そしていい顔しまくりのそうる。 そーゆうのを見ると。嫉妬してモヤモヤした。
でも。いつもみたいにからかわれると。悔しいくせに幸せで。 見抜かれてる感じがくすぐったくて。どうしようもなかった。 確かにおもしろくなかったのに。そうるに対してむかつくーって思ったのに。 ちょっと相手されただけで。にんまり笑われただけで。 ずっとずっとそんなやり取りを続けてたいような気持ちになった。
ねぇそうる。あんたはいつもそうやけど。 あたしに対して優位とゆーか。自信に溢れてる感じがする。 あたしが自分のことを好きやってことを確信してるし。 嫉妬してるやろーとか。嬉しいくせにーとか。平気で聞いてくるし。
あたしは未だに。ちょっとしたことがあるだけで。 やばい。嫌われた。怒られる。そんなふうに思って焦るのに。 あんたはどんなことがあったって。あたしの前ではだらしなく笑うし。 そんなだらけまくりのくせして。あたしの愛を疑ってへん。
そーゆう自然体のあんたに。あたしはいつも呆れさせられる。 そして呆れながら。あたしはまた矛盾するけど。 あんたに対して。もっとだらしなくなれーって思ったりもする。
だって。かっちょいいあんたなら他の人も惚れそうやけど。 だらしなかったり。欠点見せまくりやったり。自分勝手やったり。 そーゆうあんたをちゃんと愛せるのは。きっとあたしぐらいやと思うから。
一般的なかっちょよさだけじゃ物足りんくて。 あたしだけに分かるような。あたしだけが受け入れられるような。 むかつくほどの自然体の魅力。そーゆうのでもええかなって思ったりする。 あたしに対して。えらそうにしゃべったり。自信に溢れてたり。 そーゆうあんたやから。あたしは好きなんかもしれんって思ったりする。
あぁそうる。やっぱりあたし負けてるな。こんなふうに思わされるなんて(涙)。 ↑こーゆうのに一発でやられるあたしは。ほんまに単純(涙)。 |