今日は。久しぶりにナイターに行った。 たぶん6月に入ってから初めての参加で。 かなり嬉しかった。そして楽しかった。
まひろとはつねに会うのも10日ぶりぐらいで。 「ちょー。久しぶりですやん。」「ほんまですな。」 そんなふざけた会話をやり取りするのも楽しかった。
そうるは。予想はしてたけど研究室の用事で来てなかった。 グランドに着いて。いつもあるはずの場所にそうるのバイクがなくて。 あーやっぱり忙しいんやなーって思って。ちょっと寂しかった。
なんでもいいから会いたい日がある。 その笑顔を見て。その声を聞いて。満たされたい日がある。
実習が早く終わったのもあったけど。 そうるに会いたい気持ち強くて。どうしようもなかった。 感じてる不安とかドロドロとかも。会えば癒されるような気がしてた。 他力本願で情けないとも思ったけど。でも会えば浮上する気がしてた。
練習の途中で。雨脚が強くなってきて。 「これは最後までやるのは無理やなー。」って現キャプの判断で。 いつもやるはずのメニューをいくつか省略して。1時間ぐらい早く終わることにした。
そこで。あたしはちょっと気になってまひろに聞いてみる。 「なぁなぁ。今日って○○○(←そうる)休むとか聞いてる?」って。 研究室で忙しくなっても。そうるはナイターに来ることが多い。 あと1時間しかないーってときになっても。研究室の用事が終わり次第。 バイクを飛ばしてやってくる。そんなそうるの熱をあたしは知ってる。 もしかして。今日もグランドに向かってるかもしれん。そう思った。
「あー聞いてへんわ。でもあのコのことやから遅れてでも来るかもな。」 「そっか。じゃあ早く終わるって連絡した方がええかな。」 「あー確かに。来て終わってたら最悪やしな。電話しとく?」 「うん。じゃあちょっとかけてくるわ。」
まひろにそう言って。あたしは携帯を持ってグランドから出る。 そうるの声が聞けると思ったら。嬉しくて駆け足になった。
慣れた操作で。そうるの番号を表示させる。 出るかな。まだ研究室かな。それとももうこっちに向かってるかな。 会いたいけど。ほんまはめちゃめちゃ会いたいけど。 着いてすぐに練習なくなったらかわいそうやし。早く教えてあげんと。 そう思って電話をかけたら。ワンコールでそうるはすぐに電話に出た。
「もしもし?」 「もしもし。あたし。今どこ?」 「あー研究室出るとこ。」 「おーよかったー。間に合ったー。」 「え。なに、後ろうるさいけどあんた練習行ってるん?」 「うん。今日は実習早く終わってん。」 「そーなん。え、雨降ってへんの?」 「あー。だから雨脚強くなってきてさー。」
久しぶりに聞くそうるの声に。あたしは浮かれる。 大好きな声。そうるの声。姿は見えんくても確かにそうるの声。 ちょっとでも長く話していたくて。あたしはおしゃべりになる。 でもとりあえず用件を伝えたら。そうるは今日は諦めるって言った。 残念そうな声は。やたらとかわいかった。
「ついさっき○○○(←まひろ)に電話してんけどさ。」 「あーそうなんや。普通に練習してたから出れんかったんちゃう?」 「やろうな。てゆーか○○○(←あたし)が行ってるとか思わんかった。」 「でもせっかく来れたのに雨やで。ありえへんわー。」 「まぁでもまだやれるんやろ。早く戻りー。」 「・・・うん。じゃあまたね。」
そうるは。ちょっと話すとあっさり電話を切った。 あたしは。もっともっと話してたかった。 やっぱりあたしの方が。そうるを愛してる気がした。
でも調子のいいあたしは。幸せな解釈をする。 久しぶりにナイターに行けたあたしが。いっぱい練習できるように。 あたしのことを考えて。そして電話を切った。 そうるの意図は分からんけど。たぶんそんなことまで考えてないやろうけど。 でもそういうことにしとこう。幸せな勘違いをしとこう。
ねぇそうる。あほやろ。あたし。自分でも笑えてくる。 あんなに沈んでたのに。あんなに悩んでたのに。 どうして。ただ声を聞いただけでこんなにも浮上するんやろう。 別に甘いセリフを吐かれたわけでもないのに。 なんでもない会話を3分したぐらいやのに。 なんで。たったそれだけのことでこんなにも満たされるんやろう。
好きやから。あんたのことが大好きやから。 たぶんそれ以上の答えなんて見つからんのやけど。 あまりにも単純すぎる自分に。自分でも苦笑い。 でも。たぶんこんなふうやから。あたしなんやろうとも思う。
客観的に見たら。あほみたいに悩んでるし。 そして。あほみたいに簡単に立ち直るし。 そんなあたしは。ちょっとおかしいかもしれんね。
でも。あたしの浮き沈みの波が大きいのは。 性格によるものだけじゃない。絶対にそうじゃない。 それは。あたしがそれだけこの愛に真剣やから。 あんたとのことを。何ひとつとして適当になんて考えられんから。 だからあほほど沈む。そしてあほほど幸せになれる。
だからあたしは。そんな自分を誇っていいんやと思えるんよね。 こんなにも強い思いで。誰かを愛せることはすごいことやと思うから。 ただ素直に。幸せなことやなぁって思えるから。
・・・あぁそうる。またあんたに笑われそうやわ。 でも。なんかどこまでも笑われたいような気分。 笑ってええよ。てゆーか笑ってほしいよ。
あんたのむかつく笑顔に。会いたくてたまらんよ。そうる。 ↑やっぱり変わるもんなんかなぁ。あたしも変わってるんやろうか。 |