何もかもがイヤになってしまう日がある。
何がどう引き金になったのか。自分でもよく分からんままに。 イライラすることとか。うまくいかんこととか。 そーゆうのがいっぱい重なって。投げやりになって。 もう知らん。どうでもいい。どうにでもなれ。 そう思って。ちゃんと前を向けんくなる。
そして。最終的にはどかーんと痛い目に遭って。へこむ。
今日の病院実習で。あたしはそうなった。 看護師さんとうまくいかず。患者さんともうまくいかず。 言いたいことが伝わらず。やりたいことも伝わらず。 分かってもらえんくて。だんだんむかついてきて。 適当な態度をとって。担当教官に思いっきり怒られて。撃沈。
落ち始めたら。どこまでも転がっていくのがあたし。
なんでこんなとこにおるんやろう。 いったい何をやってるんやろう。 こんなことがやりたかったんやろうか。 こんなものが欲しかったんやろうか。
つまらない。おもしろくない。もうやりたくない。 そう思うくらいならやめればええのに。 結局は口だけで。何ひとつ行動に起こせん。 やばくなったら逃げ腰になって。回れ右をして。 言い逃ればっかり。自己防衛ばっかり。
・・・あたしって最低やな。
そう思ったら。もう限界級にしんどくなった。 自分が情けなくなって。悔しくなって。怖くなった。 実習が終わって。誰もおらん更衣室で。こっそり泣いた。
しんどい。もうあかん。そうる。助けて。 無意識のうちに。あたしはそう呼びかけてた。
こんなに寄りかかったらあかん。 こんなに救いを求めたらあかん。 だってそれはそうるを縛る。疲れさせる。 めんどくさいオンナになんかなりたくない。
いつものあたしならそう思ったかもしれん。 気持ちに枷をかけて。ちょっと我慢したかもしれん。 でも。今日はそんなのがどうでもよくなってた。 迷惑かもしれんけど。うんざりされるかもしれんけど。 そうるの声が聞きたかった。そうるに会いたかった。
更衣室を出て。駐輪場で携帯を開く。 原チャに跨って。そうるの番号を表示させて。ボタンを押す。 たぶんまだ研究室におるはず。電波悪かったら出んかもしれん。 出たとしても。こんな時間に用事もないのにいきなりかけたりして。 びっくりされるかもしれん。呆れられるかもしれん。
でも。あたしにしては珍しい思考やった。 そうるがどう思うかなんて。どうでもよかった。 あたしの心が。そうるを欲しがって我慢できんくなってた。
「もしもし?」 電話の向こうにそうるの声を確認して。それだけでまた涙腺が緩む。 「・・・もしもし。あたし。」 そう言う声がちょっと震えて。あたしは息を整える。
「どしたん?」 「んー。いや・・・今どこ?」 「研究室やけど。なんや?」 「んー。いや・・・。」 「・・・なんやねん(苦笑)。」 「いや、ごめん。別に用事じゃないんやけど・・・。」
勢いで電話をかけたものの。何を話していいんか分からんくなった。 そうるの声を聞けただけで安心して。思考が止まってもた。 あたしの話を聞いてもらいたいとかいうより。ただそうるの声を聞いていたかった。 何でもいいから話してほしかった。大好きなその声に癒されたかった。
でもそうるは。そんな気の利くしゃべりが出来る人間じゃない。 その代わり。こんなときは意外なほどに気のつく人間ではある。 電話嫌いなくせに。電話越しの雰囲気とかを。バッチリ見抜く。 そう。それはもう怖いくらいに。
しばらく沈黙が流れて。先にそれを破ったのはそうるやった。
「・・・どしたん?なんかあったんか?」 思いっきり指摘されて。嬉しさと恥ずかしさでいっぱいになる。 分かってくれた喜びと。寄りかかってる自分への苛立ち。 あぁ。また甘えてまう。また頼ってまう。ええんやろうか。 ようやくそんないつもの思考が生まれてきた。 でもそう思いつつも。救ってほしくてしょーがない心もあって。 あたしは。やっぱりどうしたらええか分からんくなった。
「んー。ちょっとへこみ中やねん。」 どうにかそう言って。照れ隠しであたしは多弁になった。 「なんかなー。うまくいかんかってん。いろいろと。」 「まぁあたしのテンションの問題でもあるんやけどさ。」 「でもどかーんと怒られてさ。しょぼくれてるねん。」 「うまくいかんときって。ほんま全部うまくいかんよな・・・。」
相変わらず人の話は黙って聞くそうるは。 あたしが一方的にしゃべった後で。 「ふーん・・・。」って。ひと言だけ言った。 それから。何かを考えてるような沈黙の後で。 「分かった。今からそっち行くわ。」って言った。
「え・・・?今から?」 「うん。病院前やんな?」 「そうやけど・・・え?今から?」 「・・・だからそうやって(笑)。」 「だって・・・なんで?研究室は?」 「ちょっとぐらい抜けられるし。」 「え・・・来てくれるん?」 「うん。5分ぐらい待っといて。」
そう言って。あっさり電話を切ったそうる。 あたしはひとり。ちょっと放心状態。
あたし・・・呼び出してなんかないやんな。 電話はしたけど。頼ろうとしたけど。来てくれとか言ってへんよな。 会いたいと思ったけど。でもそんなの言ってへんよな。
なんで。なんで来てくれるねん。 なんであたしの気持ちを見抜いてるねん。 会いたい気持ち。弱ってる気持ち。支えてほしい気持ち。 そーゆうのを。なんであんな短い電話で見抜いてるねん。
まだ会ったわけじゃないのに。具体的に何も話してへんのに。 あたしには。そうるがあたしの気持ちを見抜いてるって確信があった。 なんでか分からんけど。根拠のない確信があった。
だってそうるは。いつだってそういうヤツやから。 普段はあんなにも鈍感なくせに。あたしの嫉妬にも全然気づかんくせに。 あたしが出す小さなSOSには。いつだってちゃんと気づいてくれるから。
あたしの目に。またじんわり涙が浮かんできた。 弱ってる心には。そうるの優しさがいつも以上に沁みた。
ねぇそうる。あんたはなんでそうなんやろう。 あたしのあんたに対する気持ちには。あんなにも鈍いのに。 他のことで精神的に参ってるあたしには。あたし以上に鋭い感覚で気づく。 電話の雰囲気とか。声の調子とか。話し口調とか。 そーゆうのの中に含まれてる無意識のサインに。しっかり気づく。
あぁ。あたしはやっぱり大事にされてるんかもしれんな。 あたしが思ってる以上に。気にかけてもらえてるんかもしれんな。 つまらん嫉妬をしてみたり。独占欲に苦しんでみたり。 あたしはいつだって。ひとりでジタバタしてるけど。 あんたは。こんなにもあたしを大事にしてくれる。 気づいてくれる。すぐ飛んできてくれる。
そんなあんたを前にすると。あたしは自分が恥ずかしくなる。 あんたに対して。多くを望んで。得られんくて。 勝手にイライラしてる自分が恥ずかしくてたまらんくなる。
ねぇそうる。あたしの心に言ってやって。 わがままで欲張りな。あたしの心に言い聞かせてやって。
これ以上いったい何を望むことがあるんよって。そう言ってやって。
↑何を言い出すんやろう・・・一瞬そう思ったけどね(苦笑)。 長くなりそうなので。続きは明日の日記に書きます。
*追加* BBSのレスが飛んでるのがいくつかありました。 レスのレス、みたいなのです。あれって忘れがちなんですよねぇ(涙)。 ちゃんとつけときましたので。また戻って見てやってください☆ |