***☆For My Dearest☆***



***☆For My Dearest☆***

男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2003年05月13日(火)すべて涙色。

むかつく。許せへん。イライラする。
満たされん。もっと欲しい。もっともっと欲しい。

そんなことをひたすらに思ってたあたしやけど。
今日は。そんな自分が嘘のように穏やかな気分。
というより。乾ききった心に。優しい水が与えられて。
沁み込んで。潤って。満たされた気分。

分かりやすいけどね。そうるに会えたってことです。
そして。とりあえずちゃんと仲直りできたってことです(照)。

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今日も実習はしんどかった。
やらなあかんことがいっぱいで。さっぱり余裕がなかった。
はっきり言って。昨日ほどそうるのことは考えてなかった。
もう思考の隅っこに追いやられてて。どうでもよくなってた。

昨日の夜は。やらなあかん課題がいっぱいあって。
実は2時間ぐらいしか寝てなかったりしたから。
今日は家に帰ったらもうしんどさ限界で。ベッドに横になった。
睡魔に襲われるままに。すーっと眠りに落ちていく・・・予定やった。

それを遮ったのは。携帯のバイブ音。
マナーモードのままにしてた携帯は。カバンの中で震えてて。
メールならすぐ切れるはずやのに長かったから。電話なんやなと思って。
手探りで携帯を見つけ出すと。そのままいきなり電話に出た。

「もしもし。うち。」
電話の向こうは。そうるやった。
びっくりして眠気がいっぺんに覚めた。

「今どこ?もう終わったん?」
「あー・・・うん。もう家におるよ。」
「明日は実習ないやんな?今からちょっと走らん?」
「あー・・・ええけど。もう研究室終わったん?」
「うん。今日は早く上がれることになってん。」
「そっか。うん。じゃあ待ってるわ。」

電話を切って。我に返って。
なんかけっこう普通にしゃべってたなぁって思った。
日曜に。ごめんなさいメールを送って。
そうるからもごめんなさいメールが1通だけきて。
それっきり連絡とってへんかったのに。
ちゃんとしゃべれるもんやなぁって思った。

でも。会うのはちょっと心配やった。
さてどんな顔して会えばええんやろって思った。


6時過ぎ。電話から待つこと10分ぐらい。
そうるはバイクでやってきて。あたしを乗せてくれた。
「どこ行こっか。」「どこでもええで。」「じゃあ河原でも行こっか。」「うん。」
そんな程度の会話で。あたしたちは走り出した。

そうるが向かってたのは。いつも練習してるグランドやった。
河川敷にあるそのグランドは。あたしの家から30分ぐらい。
そうるのバイクに乗って。あたしは久しぶりのバイクの感覚に酔ってた。
体に伝わる振動。エンジン音。そうるの腰に回す腕の感触。そうるの匂い。
久しぶりの感覚は。あたしのストレスを吹き飛ばしてくれた。

信号待ちで止まるたびに。どうでもいい話をしてた。
そうるの研究課題の話。あたしの実習の話。サークルの話。
ちょっと気まずいことがあっても。普通に話そうと思えば話せる。
それだけの関係を。あたしとそうるはすでに築けてる。
でも2人して本題には触れんくて。触れたくても触れられん感じで。
お互いにお互いの様子を伺ってる感じが。ちょっと苦しかった。


河原に着いても。何をするでもなかったけど。
「なんか喉渇いたー。」って言って。そうるは自販機のとこに行った。
あたしは1人残されて。そうるのバイクに跨ってた。
ハンドルを触って。ブレーキを握って。ミラーをいじって。
いつもそうるの手が触れるであろう場所を。ひたすら触りまくってた。
いいなぁこいつは。いつもそうるに愛されまくって。
そんなことをぼんやり思ったりもしてた。

片手にコーヒー。片手にミルクティを持って。そうるが戻ってきた。
バイクをいじりまくってるあたしを見て。ちょっと笑った。
「壊すなよ。高いんやで。」とか。分かりきってることを言って笑った。
その顔は。なんか優しくて。保護者みたいな顔やった。
好き勝手やるあたしを見守ってくれる。いつものそうるの顔やった。
大きな愛情で。あたしをすっぽり包んでくれるような感じがした。


あたしの中で。またいろんな思いがあふれ出した。

もういいや。・・・またそう思ってしまった。
絶対に許せんって思ったけど。もういいや。
だってあんなにむかついたのに。目の前におるそうるがこんなに愛しい。
あたしの体は。こんなにそうるにくっつきたがってる。

結局はあたしはそうなんや。心底そうるを怒ることなんて出来んのや。
そんな自分を情けないとか。弱いとか。いろいろ思ってへこんだりもするけど。
でももう別にいい。だってそれだけ好きになってもたんやから。
それだけ愛さずにはおられん存在に。あたしは出会ってしまったんやから。

ちゃんと謝って。スッキリしよう。そしてまた仲良くなろう。
そう思って。ちょっと言葉を選んでたら。
意外なことに。そうるの方が先に話し始めた。


「しかし土曜はほんまに飲みすぎた。まじ反省してる。」
「・・・よーけ飲んだんやね。」
「てゆーか・・・あんたからしたらありえへんこともやったし。」
「・・・もうええって。あたしも言い過ぎたと思ってるし。」
「てゆーか・・・イヤな思いさせてごめんな。」
「・・・・・・。」

そうるは。あたしにバイクに跨らせたままで。自分はバイクにもたれた。
河原の方を見ながら。つぶやくように話してた。
あたしとそうるは。向いてる方向が90度ずれてたけど。
背越しに聞こえてくるそうるの声は。穏やかで優しかった。

「でもな。」そうるはちょっと黙った後で。
つらつらっと思いを語ってくれた。


うちがやってもた状況は。ありえへんことやったかもしれんけど。
でも。そんなに全面的に疑わんとってほしかった。
確かに覚えてへんから強く言えんけど。いくら酔ってたとしても。
うちは行きずりで男と関係を持つようなあほなオンナじゃない。
男にその気があったとしても。うちは絶対そんな方には流されん。
自分で状況作っといて調子ええけど。それは分かってほしかった。
そーゆうとこで疑われたのが1番ショックやった。


そうるの声は。静かにあたしの中に沁みてきた。
そしてあたしの涙を誘い出して。キレイな夕焼けを滲ませた。
そっか。そうるは怒ってたわけじゃなかったんや。
あたしがそうるを疑ったことが。ショックやったんや。
だからあんなふうに電話を切ったんや。連絡もよこさんかったんや。

ユラユラ景色が揺れた。涙が頬を伝って落ちた。
「泣かんとってや。泣かせたいわけじゃないねん。」
そうるはあたしの涙に気づくと。ポンって頭を叩いた。
それがまた余計にあたしを泣かせた。
でもあたしも。ちゃんと言いたいことを言おうと思った。


なんか電話では感情的になってもてごめん。
後からめっちゃ反省した。うるさくてごめん。
でもあたしはあの夜あんたのこと心配してたし。
それはあたしが勝手に心配してただけで。
あんたには関係ないことなんかもしれんけど。

でも。そんなときにあんたがそんな状況におったんかと思ったら。
なんか腹が立ってしょーがなかってん。
たぶん半分以上はヤキモチやねん。
でも残りの気持ちは。やっぱりあんたが心配やからやで。
何かあってからじゃ遅いし。そーゆうことには絶対なってほしくないから。
あんたがあまりにも余裕ぶっかましてる気がして。言わずにおれんかってん。

あたしはあんたを疑ってもたけど。でもずっと疑ってるわけじゃない。
もちろん基本的に信じてる。でも疑わざるを得ん状況をあんたが作って。
それでもあんたが平気なことが。あたしはショックやった。
でも。あんたも疑われてショックやったんよね。ごめん。


こんなふうなことを。あたしは出来るだけ冷静にしゃべった。
感情的になって。言わんでええことまで言わんように。
思いをできるだけそのまま言葉にできるように。慎重にしゃべった。
あんなに落ち着いてしゃべるなんて。あたしには珍しかったかもしれん。

そうるはやっぱり黙ってあたしの話を聞いて。
何かを自分の中で考えてるみたいやった。
いつものそうる。感情を自分の中に押し込めて。
自分の中でゆっくり消化するそうる。
そんなそうるの前では。あたしはいつも待つだけ。

しばらくして。そうるは「・・・うん。分かった。」って言って。
バイクから体を離すと。あたしの目の前に来た。


「もうええよな。言いたいこと言ったし。」
「うん。あたしも言った。」
「じゃあ仲直り。うちはもう怒らへん。」
「うん。あたしももう怒らへん。」

そうるは。真剣な顔をフッと緩めて。
「はぁ・・・疲れた。」って言った。
そっか。疲れたのはあたしだけじゃなかったんやね。
そうるも。いろいろ考えて疲れてたんやね。
そう思ったら。また体がぬくもりを欲しがり始めた。

溢れる愛しさをなんとか伝えたくて。
あたしはバイクから降りて。そうるに抱きついた。
あたしの体がしたがってたことを。心が許してあげた。
そうるは。最初はちょっとびっくりしてたけど。
そのままゆっくりあたしを抱き締めてくれた。
ちょっとしゃっくりあげたあたしの背中をトントンって叩いて。
「・・・泣き虫。」って。いつもみたいにからかった。


ねぇそうる。泣き虫は誰のせいやと思ってるんよ。
ほんま。自分のせいやって分かってるんかいな。
あたしの流す涙は。いつだってあんたへの愛に溢れてるんよ。
愛せる幸せと。愛される幸せで。あたしの涙は出来てるのに。
ほんま。あんたは全然分かってへんのやね(苦笑)。

あぁ。それにしても。気持ちがちゃんと通じてよかった。
やっぱり伝えようとする気持ちは。忘れたらあかんね。
分かってほしいなら。分かってもらう努力を。
分かりたいなら。分かろうとする努力を。
どんなに慣れ親しんだ関係でも。忘れたらあかんよね。

そうる。こうやって2人でぶつかり合うたびに。
自分を見つめて。相手を思って。あたしたちは成長していく。
痛いけど。しんどいけど。これって絶対に無駄なことじゃない。
きっとこうやって。ちょっとずつ大きくなっていくんやね。

ねぇそうる。それってやっぱりステキなことやね。





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↑やっぱりちょっと涙ぐんでもた。
なーんか。ほんまに泣き虫で困るわ(苦笑)。





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written by さあや

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