***☆For My Dearest☆***



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男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2003年05月03日(土)愛に理由はなし。

鉄道高架下の狭いスペース。落書きだらけの壁に囲まれた場所。
見逃しそうなその場所に。ライブハウスはひっそりとあった。
店の前には。ちょっと悪そうなお兄さん集団がおって。
あたしは軽くびびって。そうるにぴったりとくっついた。

「受け付けのとこに友達おるって言っててんけど・・・。」
そうるはそう言って。小さくて汚いドアを開けた。
あたしはそうるの後ろに隠れるようにして。店の中に入った。

薄暗い店内は。狭くて息苦しい空間やった。
つるされた裸電球。無造作に置かれた椅子と机。
むき出しの天井。あちこちに落ちてるタバコの吸い殻。酒の匂い。
そんな場所は初めてのあたしにとっては。ちょっと居心地が悪かった。

そうるは友達を見つけて。あたしを紹介してくれた。
「同じ大学のサークルのコ。」って言われて。あたしは彼女に会釈する。
「まぁ楽しんでいってねー。」って彼女は言った。
いい人なんやろうなぁと思った。でもなんとなく気分が沈んだ。

いい。慣れてるし。こんなこと。気にせーへん。
あたしだってそうるを紹介するときは。同じことを言うやろうし。
別にいい。「恋人」として紹介してもらえんくたって。
初対面の人に。いきなりすべてを分かってもらおうなんて思わんし。
そう思いつつ。なんとなくあたしは寂しかった。


ワンドリンクサービスで。カウンター越しにお酒を頼む。
そうるは大好きなウォッカ。あたしはカシスソーダ。
グラスを持って。部屋の隅に小さなソファを見つけて座る。

「あたしこーゆうとこ初めてやねんけど。」
「うん。うちも初めて。変な感じやわ。」
「そうなん?なんか慣れてる気がしてんけど。」
「・・・なんやねんそれ(苦笑)。」

だってほんまにそうるは。雰囲気にしっくり馴染んでた。
あたしがキョロキョロしすぎなんかもしれんけど(苦笑)。
そうるは。やたら堂々としてるように見えた。
なんでやろう。そうるはほんまに思ってることが態度に出んのよね。
びびってることも。違和感もってることも。あたしには分からんかった。
なんかそーゆうそうるを。改めてすごいなぁって思った。


そうこうしてるうちに。ライブが始まった。
ステージの前にみんな集まっていって。熱気がこもった。
初めて聞くキューバ音楽は。けっこう好きかもって思った。
全体的なリズムもよかったし。ボーカルの女の人の声の伸びが最高で。
全然知らん曲ばっかりやったのに。自然と体がリズムを取ってた。
こうやって開放的になれるライブって空間は。やっぱり好き。

でもスタンディングの込み合ったライブハウスは。なかなか疲れた。
いくつかのバンドが交代に出てきてたんやけど。
そうるの友達のオススメは最後の方に出てくることになってて。
時間は夜中の2時とか3時やったから。もうフラフラやった。

途中で気持ち悪くなって。立ってられんくなってきたあたしは。
「ごめん。ちょっと端っこ行ってるわ。」ってそうるに言って。
ホールの端にある椅子のとこに歩いて行こうとした。
そしたらそうるは。「大丈夫?」って言ってあたしの手を取ると。
人波を掻き分けて。ちょっと空いたスペースまで連れて行ってくれた。


お酒の酔いと。タバコの匂いと。ライブハウスの熱気。
いろんな要素があたしを酔わせて。フワフワにした。
ミラーボールが天井でゆっくり回ってて。部屋を怪しげな雰囲気にしてた。
あたしを椅子に座らせたそうるは。あたし用にお茶を取ってきてくれた。
そして自分は2杯目のウォッカを手にして。あたしの隣でステージの方を見てた。
そんなそうるに甘えたくなって。自分の方を見てほしくなって。
あたしは。軽くそうるの肩に頭を乗せた。

そうるはチラっとあたしの方を見ると。フって笑った。
そしてそのままあたしに顔を寄せると。短いキスをした。
あまりの早業に。目を閉じるのも忘れた。
お酒のせいで冷えたそうるの唇が。気持ちよかった。

「・・・人見てるやん。」「見てへんよ。」
「見てるって。」「こんな暗いのに見えるわけないやん。」
「でも・・・」「ええやん。見たいヤツには見せとけば。」

そうるはそう言うと。またあたしにキスをくれた。
2度目のキスは。甘くて長いキスやった。
キスをしながら。近くにあったテーブルに自分のコップを置いて。
あたしの手からもコップを奪って。自分のコップの隣に置いた。
そして両手が自由になったそうるは。あたしをしっかり抱き締めてくれた。

人前でこんなことをするのは初めてで。頭の奥がジンジンした。
ええんかいな。こんなこと。誰か見てるんとちゃうんかいな。
そう思ったけど。そうるのキスであたしの思考回路は止まってもた。
暗い店内。知らない人だらけ。汚れた空気。酒とタバコの匂い。
そんないつもと違う状況が。あたしをおかしくした。
あたしは何度もそうるとキスをして。そのたびに吐息を漏らした。


ねぇそうる。あんたといるとあたしは。
こんなふうに予想もせんかったスリルを味わえる。
そして。そんなスリルに酔ううちに。いつもと違うあたしになれる。
普段のあたしなら。人前でいちゃつくのなんて絶対ありえへんのに。
あんたに迫られると拒めんくて。すべてを許せてまう。
そして。自分の中に潜む本能の部分に気づかされたりなんかもする。

てゆーか。そうる。あんたはほんまに怖いもの知らずやね(苦笑)。
なんてゆーか。あたしやったら絶対にできんことをやってくれる。
人の目とか全然気にしてへん。いつだって自分第一。
やりたいことはやる。やりたくないことはやらん。
そーゆう潔さは。ほんまにうらやましくなるほどかっちょいい。

そんな潔いあんたを前にすると。あたしは考えてるのがあほらしくなる。
そうるが女で。あたしも女で。ほんまにええんやろうか。
そんなことをいろいろ考えてるあたしをひょいっと乗り越えて。
あんたは簡単にあたしを愛してくれてるように思えるし。

なんでそんなに自信に溢れてるんやろう。堂々とできるんやろう。
誰かがもしあんたにそう聞いたら。あんたはたぶんこう答えるんやろうね。
「だって好きなんやし。それだけやし。」

ノロケでもなんでもなく。あんたはきっとそう言う。
「好き」なのに理由なんかない。好きなもんは好き。
キスしたいもんはしたい。抱き締めたいもんは抱き締めたい。
だからキスする。抱き締める。ただそれだけのこと。
そうる。あんたはいつだってそんなふうに。
物事に付随するいろんなものをすっぱり切り捨てて。
究極にシンプルに考えられる心を持ってるんよね。

そんなあんたやから。あたしは安心してついて行けるんやろう。
恋愛は頭でするもんじゃない。心が望むままにするもの。
そういうことを教えてくれるあんたがおるから。
あたしは。ドロドロ考えることはあっても。浮上できるんやろう。

ねぇそうる。あたしはいい人を好きになったよ。まったく。





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あたしとそうるの好きな曲で。何度かここでも紹介してる曲で。
「O.L」って曲があるのですが。その世界観をやっと掴めました。
今日のライブハウスみたいなとこがそうなんかなーって。
勝手に理解してちょっと嬉しかったので。一部歌詞を残してみます。
自己満足ですけど。ちょっと味わってみてもらえると嬉しいです。

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煙たげな店を抜け出し これから二人どこへいけばいい 眠りさえ性になる町で
ガードの下の錆びた匂いと 汚れた壁に癒されながら 喘ぎながら互いを知り合う

昨日までをかばうように抱き締めてみた 君の肩越しに新しい何かが見えて

わずかな夜を 滑り落ちて消える 口付けよ 孤独な花になれ
迷いの中で 咲き急ぐ思いが 頼りなくも 儚くも風に震える

O.L / T.M.Revolution より一部抜粋





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