***☆For My Dearest☆***



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男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2003年03月15日(土)痛みは今でも。

あたしはよく夢を見る。
幸せで。ずっと見ていたいような夢もあれば。
怖くて。必死で目を開けて終わらせる夢もある。

夜明けに見る夢は。だいたいいつも後者。
あたしは。ぐっしょり汗をかきながら目覚めて。
夢でよかったと胸を撫で下ろす。
それは。正体不明の怪獣に襲われる夢やったり。
崖から転落する夢やったり。海で溺れる夢やったり。いろいろ。
ちょっと現実ではありえへんようなことが。夢ではよく起こる。

でも。今朝見た夢は。やけにリアルで。苦しかった。苦しすぎた。
それは。そうるがあたしから遠ざかっていく夢やった。


場所は。あたしたちがよく行くショッピング街。
そこの上りのエスカレーターに。そうるが乗ろうとしてた。
普段ではありえんような。あたしが見たこともないような。
パステルカラーのかわいい服をきたそうるが。そこにはおった。
あたしは。なぜかその場から動くことができんくて。
声にならん声で。そうるの名前を何度も叫んでた。
でもそうるには。あたしの声は届いてへんみたいやった。

そうしてるうちに。そうるの隣に男の人が現れて。
そうるの手を取って。あたしの方を見て。ニヤっと笑った。
そうるは。あたしの方は1度も見んくて。その男を横顔を見てた。
腕を絡ませた2人を乗せて。エスカレーターはどんどん上がって行って。
あたしはひとり取り残されて。その場に立ち尽くしてた。

誰よ。あんた誰よ。イヤや。そうるを連れて行かんといて。
キライ。あんたなんか大キライ。消えて。お願いやから消えて。
そうる。そうる。なんであたしを見てくれんの。
こんなに呼びかけてるのに。あんたには聞こえんの。
お願い。行かんといて。あたしを置いて行かんといて。
なんで。なんで。イヤや。こんなのイヤや。


必死の思いで目を開けて。すべては夢やって分かって。
安堵と苦痛で。じんわり涙が浮かんでくる。


夢やと気づいた後も。しばらく体の震えが止まらんかった。
寒さのせいかと思って。あったかいココアを入れた。
でもココアを飲んでも。ちっとも落ち着けんかった。

時計を見たら朝の6時で。窓の外はまだうす暗かった。
また同じ夢を見るかと思ったら眠るのが怖くて。
あたしはカーテンを引いて。ゆっくり白くなっていく外を見てた。
そのうち少しずつ冷静になっていって。
なんであんな夢を見たんやろうって考えてた。

そっか。昨日がホワイトデーやったからや。
だから忘れかけてたあの男の存在が。頭をよぎったんや。
そう思って。あたしは長い溜め息を吐く。

あたしが連絡せんかったのもあるけど。そうるも連絡をくれんくて。
結局金曜はまったくそうると連絡とってなかった。
サークルの掲示板にも。そうるのカキコはなくて。
もしかしたら家に帰ってへんのかなって。あたしは思ってた。
そして。もしかしたら。あの男と会ってたりするんかなって思い始めて。
そして。そんなことあるはずないやんって考え直してた。

そうるは。あの男との関係は切るって言ってくれた。
あの目は本物やったし。あの涙も本物やった。
少なくともあたしには。そう信じられるものやった。
だから。もう何か言うのはやめようと思って。
あれ以来あたしは。何もそうるには言ってへん。
そうるからも。あの男に関する発言はなくなった。

大丈夫なんやと思う。何かあるはずがないと思う。

でも。こんな夢を見たら。不安もよぎるやん。
忘れかけてたことやのに。考えんようにしてたことやのに。
夢でそんなことされたら。イヤでも思い出してまうやん。

でもさすがに。夢で見たとも言い出せんし。
そんなこと言えるくらいなら。あたしは1年も苦しんでへんかった。
あぁ。ほんま。夢なんか見んかったらよかった。
そう思って。どうしようもない思いにかられて。また苦しくなる。


ねぇそうる。あたしは痛みはいつか薄れていくものやって書いたけど。
薄れても。やっぱり絶対消えることはないんやと思った。
どんなに薄れてても。もう自分でも意識せんくらいになってても。
こんなふとしたことで。こんなにも思い出す。
そして。やっぱり痛みは痛みで。何ひとつ変わらへん。

あんたの本音を聞いた。大事に思ってくれてることが分かった。
嬉しかった。もうその気持ちだけで十分やと思った。
それやのに。過去の痛みは。その喜びの重みさえ。あたしに分からんくさせる。

いつまで引きずってるんやろう。なんでこんなに嫉妬深いんやろう。
もっとドライで大人なオンナになりたいのに。あたしには無理みたい。
どうやったって。もう別に気にせーへんとは言えん。
そうる。あんたのことで。どーでもええことなんてあたしにはない。
何を考えてるか気になるし。心に誰がおるんか気になるし。

そう考え出すと。どうしてもあの男が出てくるねん。
あたしが。この世で1番キライなあの男が。
顔も見たことのないあの男が。どこまでもあたしを締め付ける。

負けへん。大丈夫。負けたりなんかせーへん。
あたしはそんなに弱くなんかない。

でも。やっぱり痛い。そうる。あの傷は今でも痛いんよ。





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