昨日のあたしはほんまにアホ全開で。ただの酔っ払いで。 情けないことこの上ない醜態をココに曝してしまったんやけど(涙)。 そんなあたしに比べて。そうるがなんて人間的に出来てるのか。 今日。あたしは思い知ることになった。
朝起きて。二日酔いでガンガンする頭を抱えて。 どうにか昨日のことを思い出して。メールを読み返して反省して。 (あー。やらかしてもーた。)と思って。すぐにそうるにメールを作った。 「困らせてごめん。相手してくれてありがとう。」 そんなメールに対して。そうるがくれた返事は。 やっぱりそうるらしいもんやった。
ちとせと話した経緯なんかをちょこっと教えてくれて。最後にこう書いてた。 「ちゃんとお礼言っときや。それと酒はほどほどにしなさい。」 それはあまりにも正しすぎる言葉で。あたしは返す言葉がなかった。
だから。まさか予想もしてなかった。考えもせんかった。 呆れられてると思ってたし。がっかりされてると思ってた。
でもそうるは。それだけで終わる人じゃなかった。 夜。あたしに。不意打ちで会いに来てくれた。
課題を提出するついでに寄ったとか言ってたけど。 昨日あんだけ醜態を曝したあたしに。会いに来るとか。 そうるからワンコールがあったとき。あたしは信じられんかった。 なんで?呆れてへんの?怒ってへんの? あたしの頭の中は「?」でいっぱいになってた。
「さびー。やっぱ冬場のバイクは限界があるわー。」 「・・・・・・。」 「なんかあったかいもんある?」 「・・・・・・あるけど。」 「なんやねん。」 「・・・・・・怒ってへんの?」 「怒ってへんよ。」 「・・・・・・なんで?」 「いや、なんでって言われても。」
あたしは質問をたたみかける。 「呆れたやろ?」 「それはちょっとな。」 「もう知らんって思ったやろ?」 「それは思ってへんな。」 「うそや。絶対思ったはず。」 「・・・思ってへんよ。」
なんで。なんで。なんで。 あたしあんなにやりたい放題やったやん。醜かったやん。 不可能なこと要求して。あんたのこと困らせまくったやん。 会いたいとか連発されたら。あんたなら絶対重たいって思うやろ。 無理せんでええのに。怒ってくれてええのに。
自分の中でぐちゃぐちゃと葛藤してるあたしを。そうるはやっぱり黙って見てた。 そしてあろうことか。そんなあたしに近づいて。ぎゅーっと抱き締めてくれた。 固まってるあたしを諭すように。ゆっくり耳元で話してくれる。
「確かに全然ゆっくり会えてへんかったもんなー。」 「うちバイトばっかりで全然都合つけられんかったし。」 「そのわりには寂しいって言ってこんなーって思っててんで。」 「やっぱり我慢しとったんやんな。うさぎはうさぎなりに(笑)。」
あたしは。もういっぱいいっぱいになる。
あぁ。なんでこの人は。こんなに大きいんやろう。 不安とかわがままとか全部含めて。あたしをすっぽり包んでくれるんやろう。 あたしにはそんな許容量なんかないのに。小さくていじけてるだけやのに。 なんでこの人は。そういうのもまるごと分かってくれるんやろう。
あたしはそうるに抱きついて。その肩を涙でちょっとだけ濡らした。 伝わってくるぬくもりに。癒されて。いろんな思いが溶けていった。
そして。そこから後は。いつもみたいに。 あたしはそうるに身を預ける。2人もつれながら。ベッドに倒れこむ。 あぁようやく。ようやくそうるに触れてもらえる。そうるに触れられる。 そう思った自分を。いやらしいともなんとも思わんかった。 気持ちは無色透明。なんかそんな感じやった。
久しぶりにそうると肌を重ねる。重ねた肌と肌で。互いの温度を感じる。 どんなに激しく抱かれるかと思いきや。そうるは優しかった。 いつもならどんどん高ぶってくるそうるが。ゆっくりあたしを抱いてくれた。 思いっきり優しく。壊れ物を扱うように。あたしに触れてくれた。 キスひとつにしても。これ以上ないと思えるほど甘かった。 ユラユラを漂うような感覚の中で。あたしはすっかり溶かされた。
戯れの最中には。あたしはあんまりしゃべらんのやけど。 そうるがあんまり優しいから。ちょっと不思議になって聞いてみる。 「どうしたんー?」って。甘えてみる。 「なにがよ。」そうるはあたしの隣に横になって。 上半身だけ持ち上げて。あたしにまたキスをする。 「なーんか。今日優しいし。」って。さらにあたしは甘えてみる。 「そうか?いつもと変わらんで。」そうるは片手で自分の頭を支えて。 もう片方の手であたしの顔中をつまむ。
鼻。頬。唇。そうるに触れられたあたしの一部は。 そこだけ火を灯されたように。ぽっとあったかくなる。 「やめれー。」とか言って。やめてほしくなんかないくせに。 そうるの手を掴んだら。またいつもみたいににやっと笑われる。
まーた見抜いてる顔やし。やめてほしくないあたしの気持ち。 しっかり分かってるんやろうし。ほんま。なんて得意そうな顔(涙)。 あたしもあたしで。久々に見たその笑顔に。 しかも少女漫画みたいな。キラキラした笑顔なんかじゃなくて。 なんともそうるらしい「にやっ」っとした笑いに。 胸の真ん中を打ち抜かれたようになって。痺れてるし。 悔しさ全開で。でもそばにそうるがおる嬉しさも全開で。 よく分からん感覚で。あたしは胸のあたりが痒くてしょーがなかった。
ねぇそうる。あんたはやっぱりすごいわ。 なんてゆーか。ツボを心得てるわ(笑)。 冷たいときは散々冷たいくせに。キツイことも言いまくるくせに。 こうやって。優しい言葉をくれたり。甘いキスをくれたり。 そして。あんなにも大切に抱いてくれたり。 その極端な二面性に。あたしはやられてるんかもしれん。 どっちがほんまのあんたなんやろうとか。そんなことを考えそうになるし。
でもでも。そうるはそうる。いつだってそう。 あたしのことをどうしようもなく苦しめるのも。あんたやし。 これ以上ないくらいに幸せにするのも。あんたやし。 あたしはもともと気分屋さんやから。変わりやすいもんやけど。 感情の起伏をこんなにもあたしにつける存在なんて。 きっとあんたぐらいしかおらへん。これってきっとすごいことやで。
そしてもうひとつ。冗談抜きで。あたしがあんたをすごいと思うこと。 なんだかんだ言っても。ちゃんと人の気持ちを思いやれること。 あたしは昨日。何も考えられてなかったやん。 酔ってたとはいえど。夜遅くにあんたに電話して。 わけ分からんこと言いまくって。あんたにかける迷惑とか全然考えてなかった。 でもあんたは違う。あんなあたしのわがままでさえ。捨てたりせーへん。 会いたいって思った気持ちを。ちゃんと汲み取ってくれる。
すごいな。そうる。あんたはやっぱりかっちょいい。 あんたがあんまりかっちょよかったら。あたしのアホさが目立つやん。 あたしがあんたのところまで上がればええんやけどさ(苦笑)。
あぁそうる。あんまりかっちょいいことばっかりやらんといて。 これ以上あんたに夢中になったら。あたしきっとやばいから。
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