試合。本気で本気で勝ちたかった試合。 結果は。残念ながら負けてしまった。
先週の試合は。相手があまりにも強すぎた。 でも今週は。勝てない相手じゃなかった。 点差はついてたけど。流れはうちのチームにも来てたし。 追いかける立場ではあっても。勝てると信じられた時間帯もあった。 でも。その思いは叶わなかった。
試合終了のホイッスルを聞いた瞬間は。頭が真っ白やった。 試合が終わったことが。信じられないようなぼんやりした頭やった。 でもだんだん感覚が戻ってきて。負けたことを実感して。涙が溢れた。 それを必死で堪えて。整列するために並ぼうと歩いていく途中で。 「お疲れさん。」って。ベンチにいたチームメイトに背中を叩かれた。 あたしは。それでもう限界になって。堰を切ったように泣いてしまった。
相手チームと審判さんにあいさつをして。礼をする。 頭を下げた瞬間に。涙がポタポタ地面に落ちた。 応援してくれた1回生とかOGさんとか。ベンチのみんなとか。 「ナイスファイトー!」って。みんな暖かい拍手で迎えてくれて。 あぁ。こういうのももう最後なんや・・・と思ったら。涙は止まらなくなった。 みんなみんな。肩を抱き合って泣いていた。
勝ちたかった。勝ってみんなで笑いたかった。 最後だからこそ。どうしても勝ちたかった。 勝敗だけにこだわるわけじゃないけど。 勝利を得て。みんなで心から笑いたかった。
悔しかった。悔しいなんて言葉じゃ表せない。悔しすぎた。 噛み締めた唇から。血が滲むかと思った。痛かった。 喰いしばった奥歯が。砕けるかと思った。痛すぎた。
そうるは。キャプテンとして審判さんたちに呼ばれてて。 試合後みんなより少し遅れて。チームのところに戻ってきた。 泣きじゃくったあたしたちが少し落ち着いてきた頃やった。 そうるは。少しだけ涙目やった。
みんな自然とそうるを囲んで。胴上げになった。 涙目のそうるの体は。優しい秋色の空に飛んだ。 みんな泣きながら笑った。笑いながら泣いた。 涙と一緒に。数え切れない思い出も溢れ出して。どうしようもなかった。 そんな思いで。飛んでるそうるを見上げた。
あたしは。今日の日を。あの光景を。一生忘れない。 泣き笑いで空に舞ったそうるの姿を。絶対忘れない。
後輩が。花束をくれた。心のこもったカードをいっぱいくれた。 あたしに手渡してくれた後輩の顔は。涙でぐちゃぐちゃやった。 抱き締めてあげた肩も。ありがとうございましたって言う声も。震えてて。 慕われてたことを改めて実感して。めちゃめちゃ嬉しかった。
その後で。みんなで写真とかを撮りまくってて。 あたしはそうるの姿が見えないことに気づいて。ぶらぶらっと探す。 そしてちょっと離れたところで。ひとりでいるそうるを見つけた。 近づいて声をかけようとして。あたしは足を止める。
そうるは。静かに泣いていた。 座り込んで。壁にもたれて。空を見上げて。 その頬には。涙が伝っていた。
久しぶりに見るそうるの涙に。どうしようもなく胸が熱くなった。
あたしは。そうるは強い人やと思ってた。 いつだって。涙を見せないそうるは。あたしの自慢やった。 クールで。冷静で。かっちょいいそうる。それが普通やと思ってた。 でもそうるは。ほんまはこうやって泣きたかったんかもしれん。 もしかしたらキャプテンとしてみんなの前に堂々と立つ一方で。 みんなの知らんところで。こうやって泣いてたんかもしれん。 そう思ったら。たまらんくなって。また涙が零れた。 明らかに泣きすぎやって思ったけど。どうしようもなかった。
そうるは。人の気配に気づいて。あたしの方を見た。 そして。急いで涙を拭うあたしを見て。いつもみたいにフッて笑った。
「あーあ。なに泣いてんねん。」って。そうるは笑った。 「あんたこそ。なに泣いてんねん。」あたしは悔しくて言い返した。 「んー。なんかなぁ。泣いてもた。」そうるはそう言って。頬をこすって。 「あー。負けてもたなぁ。」って。また空を仰いだ。
あたしはそんなそうるを見て。なんて言っていいか分からずに。 そうるの前にしゃがみこんで。その頭を抱えて。抱き締めた。
ねぇそうる。今年1年。いろんなことがあったね。 あたしたちの学年主体になって。楽しいことばっかりじゃなかったやんね。 ぶつかり合ったことも。もめたことも。いっぱいあったやんね。 でもあたしたちの学年全員が。支えあってここまできたんよね。 最高のチームを作ってきたんよね。
あぁ。みんながおってくれて。ほんまによかった。 みんながおらんかったら。あたしはここまで続けてこれんかったかもしれん。 みんながおってくれたから。熱い熱いみんなが大好きやったから。 あたしは。ここまでやってこれたんやと思う。ほんまにそう思う。 最高の仲間と一緒に。同じ目標に向かって走ってきた。同じ夢を見てきた。 そんな今年1年は。きっとあたしの人生で。 何本かの指に入るような最高の1年やったと思う。
もうすべてに。感謝したい気持ち。
そして。ねぇそうる。このサークルを通してあんたに出会えて。 あたし。ほんまにほんまによかった。 あんたなしのあたしなんて。今のあたしには考えられん。 そんなあんたとの関係は。これからもずっと続きますように。
でもとりあえず。サークルではひと段落ってことになるんやろうか。 それは寂しいけど。寂しすぎるけど。あたしは忘れへんから。 あんたの眩しい姿も。かっちょよすぎるプレーも。熱い気持ちも。 あたしは絶対に忘れへんから。
そうる。1年間キャプテンお疲れさま。 あんたがあたしたちのキャプテンで。ほんまによかった。
↑ずっと伏せてたけど。教えちゃいます。 知名度はどれぐらいのもんなんでしょうか。みなさん知ってます? 華やかな見た目とは反対に。めちゃめちゃ疲れるハードスポーツです(苦笑)。 |