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男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2002年10月12日(土)心は言葉を越えて。

今日は試合。結果は・・・またまた快勝☆
これで今シーズンは5連勝。予想以上の快進撃が嬉しすぎる。
あたしたちのチーム。ほんまに最高かもしれん(喜)。

昨日そうるに期待してるって書いたけど。そうるは。
あたしの期待以上の最高のプレーを見せてくれた。
あたしの脳裏に。最高の姿を焼き付けてくれた。

あたしは。今日のそうるを。絶対に忘れない。


前回、前々回と。勝ちはしたものの。
試合内容はあたしたちには不本意なものやったから。
今日。キャプテンであるそうるの気合いはすごかった。
ただ勝つだけじゃなくて。いい内容の試合をしよう。
そういうことを。チームメイトに何度も何度も言ってた。

試合開始前。いつものようにみんなで円陣を組む。
あたしはさりげなくそうるの隣に並ぶ。
試合前に。ちょっとでもそうるのそばにいることで。
あたしは見えないパワーをもらえるような気がしてるから。
そうるは。そんなあたしの気持ちなんか知らずに。
あたしの肩に腕を回して。ぐいっと力を込めて抱く。
その手から。あたしは確かにエネルギーをもらう。
「よっしゃー!気合い入れていくぞー!」って。
キャプテンらしく。そうるはみんなの士気を高めて。
あたしたちはコートの中に走っていく。

試合中に何度もそうるにチャンスが回ってくる。
そうるの前にゴールまでの道が出来たようになって。
そのままボールをキープして。シュートすればいいのにってチャンス。
でも。そうるはだいたい誰かにパスを出す。
周囲の状況を瞬時に判断して。正確なパスさばきを見せる。
自分でゴールに向かって爆走するときもあるけど。
それよりも周りを優先させる。そうるにはそんなとこがある。

そんなそうるを見ながら。ベンチで休憩してる時間に。
あたしは去年のことを思い出してちょっとトリップする。


経験者のそうるは。本気を出せば先輩より絶対にうまいくせに。
あんまり自分からがっついてシュートすることはなかった。
シュートは。やっぱり一番華やかな場面。
最高にかっちょよくて。見ている誰もがシュートした人に見とれる。
でもあたしは思う。本当は。そのシュートのために。
直前に最高のアシストがあるんやってこと。
そこはあんまり注目される場面じゃないけど。
実はそのアシストこそが。重要やったりするってこと。
そして。そのアシストの名手が。そうるやってこと。

あたしは。それでも去年ずっと思ってた。
そうるにシュートを決めてほしいって。
だってそれだけの実力を持ってる人やから。
最高に華やかな場面で。最高の気分を味わってほしいって。

あたしがトリップして思い出したのは。去年大雨の中でやったあの試合。
冷たい雨にびしょびしょになりながら。みんなで戦ったあの日。
あんたが去年。公式試合で初得点を決めたあの日。


あたしは。ケガでその日は試合に出られなくて。
祈る思いで。ベンチからグランドのみんなを見てた。
叩きつける雨に打たれて。グランドを走り回るチームメイト。
その中で。そうるが。最高のチャンスをつかんで。
ゴールに向かって。走り出した。

あたしは。両手を胸の前で握り締める。
そのうち。その手は無意識に口の前に当てられる。
神様・・・どうか。どうか。そうるに力を・・・!!
息を止めて。そうるの姿を目で追う。

直後。そうるは。最高のシュートを決めた。

その瞬間。あたしは叫んで崩れ落ちる。
しゃがみこんで。あたしは声をあげて泣いた。
あたしの泣き声は。雨と歓声の音でかき消されたけど。
あたしは。たぶん相当な声をあげて泣いてたと思う。
「何泣いてるねん!」「まだ勝ったわけじゃないやろ!」とか。
みんなに笑いながら頭ボカボカ叩かれたけど。
あたしは。どうしても涙が止まらなかった。

グランド上で。クールに喜ぶそうるを。
あたしはユラユラ揺れる視界の中央にとらえる。
よかった。ほんまによかった。そう思ったら。たまらなかった。

大勝利のその試合の後で。
ドロドロになったユニフォームを駅のトイレで着替えた。
みんなで試合についてああだこうだ言ってたら。ある友達が。
「ちょー。このコあんたのシュートで泣いてんでー。」ってそうるに密告。
「ひゃー。それはどうも。かたじけないっす。」ってそうるは笑った。
あたしは恥ずかしくて。真っ赤になって。
「いやー。嬉しかったんですわ。」って。照れ隠しに笑った。

あぁ。懐かしいね。そうる。



それは一瞬のトリップ。意識はすぐに現実に引き戻される。
目の前では。試合が展開されてて。
そうるがまさに勝負を仕掛けようとする瞬間やった。
あたしは。あの時と同じように。両手を強く握り締める。
そうるに。あたしの想いと祈りが届くように。ただ見つめる。

そうるは。敵をかわして。走って。走って。
鮮やかに舞って。ロングシュートを打った。
それは。ゴールネットを突き刺した。
あたしは。やっぱり絶叫した。

みんなの歓声とか視線とか。そういうのを一身に浴びて。
それでもやっぱりそうるはクールやった。
「シュート決めたら喜びまくらな!相手に衝撃与えな!」って。
他のチームメイトにはいつも言ってるくせに。
実際に自分が決めたら。恐ろしいほどにクールやった。
満面の笑顔を零すわけでもなく。ちょっと笑って片手を上げるだけ。
ちょっと。そうる。そーゆうのはかっちょよすぎて反則やで(苦笑)。
あたしはそう思いながらも。そうるを見て。やっぱり笑顔になった。


ねぇそうる。どう言えばあんたに伝わるんやろうか。
今日とか。あの日とか。あんたを見て感じた。
あたしの胸の高まり。感動。興奮。
そして。どうしようもなくあんたを愛しく感じたあの思い。
そういうふうな。あたしの中で生まれたいろんな感情は。
なんて言えばあんたにちゃんと伝えられるんやろうか。

言葉ってもどかしいわ。あたしのあんたへの気持ちは。
言葉なんかじゃ全然追い着かへんのやもん。
でも伝えたくて。分かってほしくて。必死で言葉を探す。
でも伝えきれなくて。分かってもらえたのか自信もなくて。
あたしはいつでも。唇を噛んでる。

ねぇそうる。今日はとりあえずひとつだけ。
あんたにちゃんと伝えたい思いを言葉にするね。
ゴールに向かって爆走するあんたの姿を。
真剣なまなざしを。挑む視線を。あたしは忘れへんよ。
ゴールに突き刺さるあんたのロングシュートは。
そのままあたしの心まで突き刺してくれたから。

あんたに貫かれて。痛すぎて。感動して。あたしは絶叫した。
あんまり叫びすぎて。頭がクラクラして。倒れそうになった。
そうる。嬉しいけど。あんまりかっちょよくなりすぎんといて。
あたし。失神してまうかもしれんからさ(苦笑)。





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