今日は試合。結果は・・・またまた快勝☆ これで今シーズンは5連勝。予想以上の快進撃が嬉しすぎる。 あたしたちのチーム。ほんまに最高かもしれん(喜)。
昨日そうるに期待してるって書いたけど。そうるは。 あたしの期待以上の最高のプレーを見せてくれた。 あたしの脳裏に。最高の姿を焼き付けてくれた。
あたしは。今日のそうるを。絶対に忘れない。
前回、前々回と。勝ちはしたものの。 試合内容はあたしたちには不本意なものやったから。 今日。キャプテンであるそうるの気合いはすごかった。 ただ勝つだけじゃなくて。いい内容の試合をしよう。 そういうことを。チームメイトに何度も何度も言ってた。
試合開始前。いつものようにみんなで円陣を組む。 あたしはさりげなくそうるの隣に並ぶ。 試合前に。ちょっとでもそうるのそばにいることで。 あたしは見えないパワーをもらえるような気がしてるから。 そうるは。そんなあたしの気持ちなんか知らずに。 あたしの肩に腕を回して。ぐいっと力を込めて抱く。 その手から。あたしは確かにエネルギーをもらう。 「よっしゃー!気合い入れていくぞー!」って。 キャプテンらしく。そうるはみんなの士気を高めて。 あたしたちはコートの中に走っていく。
試合中に何度もそうるにチャンスが回ってくる。 そうるの前にゴールまでの道が出来たようになって。 そのままボールをキープして。シュートすればいいのにってチャンス。 でも。そうるはだいたい誰かにパスを出す。 周囲の状況を瞬時に判断して。正確なパスさばきを見せる。 自分でゴールに向かって爆走するときもあるけど。 それよりも周りを優先させる。そうるにはそんなとこがある。
そんなそうるを見ながら。ベンチで休憩してる時間に。 あたしは去年のことを思い出してちょっとトリップする。
経験者のそうるは。本気を出せば先輩より絶対にうまいくせに。 あんまり自分からがっついてシュートすることはなかった。 シュートは。やっぱり一番華やかな場面。 最高にかっちょよくて。見ている誰もがシュートした人に見とれる。 でもあたしは思う。本当は。そのシュートのために。 直前に最高のアシストがあるんやってこと。 そこはあんまり注目される場面じゃないけど。 実はそのアシストこそが。重要やったりするってこと。 そして。そのアシストの名手が。そうるやってこと。
あたしは。それでも去年ずっと思ってた。 そうるにシュートを決めてほしいって。 だってそれだけの実力を持ってる人やから。 最高に華やかな場面で。最高の気分を味わってほしいって。
あたしがトリップして思い出したのは。去年大雨の中でやったあの試合。 冷たい雨にびしょびしょになりながら。みんなで戦ったあの日。 あんたが去年。公式試合で初得点を決めたあの日。
あたしは。ケガでその日は試合に出られなくて。 祈る思いで。ベンチからグランドのみんなを見てた。 叩きつける雨に打たれて。グランドを走り回るチームメイト。 その中で。そうるが。最高のチャンスをつかんで。 ゴールに向かって。走り出した。
あたしは。両手を胸の前で握り締める。 そのうち。その手は無意識に口の前に当てられる。 神様・・・どうか。どうか。そうるに力を・・・!! 息を止めて。そうるの姿を目で追う。
直後。そうるは。最高のシュートを決めた。
その瞬間。あたしは叫んで崩れ落ちる。 しゃがみこんで。あたしは声をあげて泣いた。 あたしの泣き声は。雨と歓声の音でかき消されたけど。 あたしは。たぶん相当な声をあげて泣いてたと思う。 「何泣いてるねん!」「まだ勝ったわけじゃないやろ!」とか。 みんなに笑いながら頭ボカボカ叩かれたけど。 あたしは。どうしても涙が止まらなかった。
グランド上で。クールに喜ぶそうるを。 あたしはユラユラ揺れる視界の中央にとらえる。 よかった。ほんまによかった。そう思ったら。たまらなかった。
大勝利のその試合の後で。 ドロドロになったユニフォームを駅のトイレで着替えた。 みんなで試合についてああだこうだ言ってたら。ある友達が。 「ちょー。このコあんたのシュートで泣いてんでー。」ってそうるに密告。 「ひゃー。それはどうも。かたじけないっす。」ってそうるは笑った。 あたしは恥ずかしくて。真っ赤になって。 「いやー。嬉しかったんですわ。」って。照れ隠しに笑った。
あぁ。懐かしいね。そうる。
それは一瞬のトリップ。意識はすぐに現実に引き戻される。 目の前では。試合が展開されてて。 そうるがまさに勝負を仕掛けようとする瞬間やった。 あたしは。あの時と同じように。両手を強く握り締める。 そうるに。あたしの想いと祈りが届くように。ただ見つめる。
そうるは。敵をかわして。走って。走って。 鮮やかに舞って。ロングシュートを打った。 それは。ゴールネットを突き刺した。 あたしは。やっぱり絶叫した。
みんなの歓声とか視線とか。そういうのを一身に浴びて。 それでもやっぱりそうるはクールやった。 「シュート決めたら喜びまくらな!相手に衝撃与えな!」って。 他のチームメイトにはいつも言ってるくせに。 実際に自分が決めたら。恐ろしいほどにクールやった。 満面の笑顔を零すわけでもなく。ちょっと笑って片手を上げるだけ。 ちょっと。そうる。そーゆうのはかっちょよすぎて反則やで(苦笑)。 あたしはそう思いながらも。そうるを見て。やっぱり笑顔になった。
ねぇそうる。どう言えばあんたに伝わるんやろうか。 今日とか。あの日とか。あんたを見て感じた。 あたしの胸の高まり。感動。興奮。 そして。どうしようもなくあんたを愛しく感じたあの思い。 そういうふうな。あたしの中で生まれたいろんな感情は。 なんて言えばあんたにちゃんと伝えられるんやろうか。
言葉ってもどかしいわ。あたしのあんたへの気持ちは。 言葉なんかじゃ全然追い着かへんのやもん。 でも伝えたくて。分かってほしくて。必死で言葉を探す。 でも伝えきれなくて。分かってもらえたのか自信もなくて。 あたしはいつでも。唇を噛んでる。
ねぇそうる。今日はとりあえずひとつだけ。 あんたにちゃんと伝えたい思いを言葉にするね。 ゴールに向かって爆走するあんたの姿を。 真剣なまなざしを。挑む視線を。あたしは忘れへんよ。 ゴールに突き刺さるあんたのロングシュートは。 そのままあたしの心まで突き刺してくれたから。
あんたに貫かれて。痛すぎて。感動して。あたしは絶叫した。 あんまり叫びすぎて。頭がクラクラして。倒れそうになった。 そうる。嬉しいけど。あんまりかっちょよくなりすぎんといて。 あたし。失神してまうかもしれんからさ(苦笑)。
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