***☆For My Dearest☆***



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男でも女でも関係ない。1人の人間として。
そうるはあたしにとって。かけがえのない最愛の人。

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2002年08月07日(水)シアワセな時間。

朝の8時半。そうるからのワンコール。
マンションの下では聞き慣れたバイクのエンジン音。
あたしはウエストポーチを掴んで部屋を飛び出す。

おそろいのオフホワイトのメットをかぶって。
あんたのバイクの後ろにひょいっとまたがる。
最初に比べて簡単に乗れるようになったもんだわ。
そう思ってなんだかひとり幸せになる。

「ちゃんと日焼け止め塗ってきたか?」そういうそうるに
「おうよ。塗りたくってきたさ。」って笑うあたし。
「よし。んじゃ行こっか。」そうるはエンジンを噴かす。
「ほーい。」あたしはそうるの背中を抱き締める。


昨日の夜にそうるから電話があった。
「ごめん。明日夕方までしか無理やわ。」
「えぇー。なんでー。」とグズるあたし。
「親出かけるから家おらなあかんねんって。」そうるが言う。
そうるの家には要介護のおばあちゃんがいる。
自宅生のそうると下宿生のあたし。
あたしはすべての時間が自由に使える。
でもそうるはそうはいかない。・・・仕方ない。

「暑いし車で迎えに行こうか?」そう言うそうるに、
「うんにゃ。絶対バイクがいい!」と言って譲らないあたし。
「日焼けすんでー。今さらやけど。」そうるは笑ってる。
「ええもん。あんた以上に焼いてやるさ。」と意気込むあたし。
「ふーん。」電話の向こうでニヤついてるそうるが想像できる。


ねぇそうる。あんたが車にしよっかって言うのに、
あたしがなんでバイクがいいって言ったか分かる?
勘のいいあんたのこと、きっと分かってたんやと思うけど。
あんたはあたしの思考回路なんかお見通しなんやろうけど。

表向きの理由は「あんたがバイクにハマってるから。」
でもそれだけじゃなくて。・・・分かってるんかな。
あたしね、ちょっとでもあんたとひっついてたかってん。
こんな暑苦しい日でもあんたの体温を感じてたかってん。

クーラーのきいた車の中で2人でのんびり。
あんたの好きなエアロスミスのベストアルバムをかけて。
きっとその方が快適かもしれへんけど。
でもバイクであんたの後ろに座って。
ちょっと汗ばんだあんたの背中を抱き締めて。
あんたの鼓動を感じる時間があたしには最高に幸せ。
2人で一緒に風を切る時間が愛しくてしょーがない。

ねぇそうる。あんたは知らんやろうね。
走ってるときはさすがに話が出来へんから、
信号待ちでちょっと振り返ってくれるあんたに。
怖がりなくせに絶叫マシンも大好きなあたしのために、
ちょうどいいスピードで走ってくれるあんたに。
あたしがどれだけ心を揺すられてるか。
あんたに愛されている幸せに全身を満たされて、
実はこっそり涙を流しちゃったりしてることも。
(あまりの風の勢いに目が痛いせいもあるけど・・・。)
きっとあんたは知らんのやろうね。


約束どおり4時前。そうるはあたしを送ってくれた。
バイバイのときはいつも寂しい。目が潤む。
バイクに座ったそうるの前に立って。
あたしは「じゃあね」って言う。
「今度埋め合わせするから。」そう言うそうるに
「しょーがないもん。気にしてへんよ。」って精一杯笑う。

人気のない駐輪場。そうるはあたしを抱き寄せる。
そして優しいキスをひとつくれる。お決まりのバイバイ。
「じゃ明日ね」って去っていくバイクの後ろ姿を見送る。
見えなくなるまであたしはそうるを見送る。


ねぇそうる。明日も会えることが分かってるのに、
なんでこんなに寂しくなってしまうんやろうね。
そうるはこんな気持ちになったりせーへん?
あたしとバイバイした帰り道。
あんたは何を思ってるんやろう。
きっと聞いてもはぐらかされるんやろうけどさ。

ずるいよなぁ。でもそんなあんたにあたしは首ったけ。





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written by さあや

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