2004年07月22日(木)
曽我さんの夫、ジェンキンス氏の訴追問題で、クローズアップされている 「司法取引」。 これは刑事事件の裁判の前に検察・裁判官・弁護人によりおこなわれる取引 で、アメリカに特有な制度だが、今日ではドイツ・イタリア・カナダなどでも 施行されつつあるという。 司法取引とは、被告人が起訴事実の一部を認める代わりに、一部を取り下げ てもらう事、被告人は罪を認める代わりに刑を軽くしてもらう事ができ、検 察官が面倒な立証作業を省く事が出来る。 また、司法取引を行えば、事実認定は自白だけで済み、審理を行わずに直ぐ 判決を下す事ができ、裁判所としても効率のいいシステムといえる 刑事事件で最後まで争うには多くの時間と費用がかかるので、それを節約 する目的で取引が行われている。 アメリカの刑事裁判は約90%がこの「司法取引」によって「審理なし」で決着 する。(軍事裁判でも適用されるという) 裁判になるのは全体の7%、あと3%は「陪審なし裁判官のみ」の日本と同じ 形式で裁かれる。 しかし、日本では、刑事裁判は、公のものであって、公のものに、取引とか交 渉とか、起訴しないとか、刑の軽減とか、犯罪の縮小とか、そういう観念は入 れてはいけないという考え方がある。 また、自分だけ助かって仲間を陥れるような人間のいうことを信用できるの か、してよいのか、という取引する人間に対する信用の問題もある。 あるいは、刑が軽くなって助かる人間とそうでない人間が出てくるという処罰 の不公平という問題もあり、日本人の長年の考え方は「司法での取引を潔し とはしない」というもので、この制度は取り入れていない。
さて、ジェンキンス氏が司法取引をする場合、アメリカが納得する内容でなけ ればならない。 今更、彼が脱走兵である、仲間にも脱走するようにしむけた、北朝鮮で反米映 画に出演したという事を認めるだけで、納得できるだろうか。 アメリカが一番知りたいのは、北朝鮮(特に核問題)に関する情報、未だに 捕まってない脱走兵の事ではないだろうか。 北朝鮮に関する情報を話した場合、北朝鮮が、拉致問題に対して態度を硬化 させるのではないかという拉致被害者家族会の懸念の声も聞こえてくる。 アメリカ高官が言っているという「落としどころ」とは、何か・・・
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