戯言。
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2004年09月12日(日) 045.永遠の愛-eternal love-[幻水4・シグ主]
全ての時が止まり、ただ、彼だけが腕を振り上げ。
全てが終わったと思っていた。
クレイが召喚した巨大樹を倒し、クールークの誇る海の申し子、トロイをも破り。
後は共に帰るだけだと。
眼下に広がる海の上で、穏やかな時を過ごすのだと。
そう信じていた。
だが、あの呪われし紋章は彼を....唯一の人を俺から奪い去っていこうとしている。
一瞬だけ、目が合った。
やめるんだ、そう訴えかける俺の目を静かに見つめ返した彼の口許は「ごめんなさい」そう動いていた。
このまま駆け寄って腕を取ったとしても、止めることは出来ないだろう。
それでも、体が動いた。
自分の手が彼に届く寸前、強い光が辺りを包む。
目も開けていられないほどの光は全てを呑み込み、唐突に消えた。
光と共に感じた痛みも忘れ、彼を引き寄せる。
そして、腕の中に倒れこんできた彼は。
彼だったものは。
さらさらと。
さらさらと、風に吹かれて消えていった。
何も残さず、たださらさらと。
否、違う。
彼は、たった一つだけ残してくれた。
この左手に宿った、黒き渦。
彼を奪い去った、罰の紋章。
唯ひとつ、彼がいた証。
唯ひとつ、彼を感じることのできる証。
俺がこれを宿すことを知るのは、たった2人だけ。
船を降りると言い出した俺を羽交い絞めにさせ、紋章の存在を確認し。
「この先時間は有り余ってるんだろう?せめて私の最後くらい看取っていけ」
「キカ様、自分だけずるいですよ!俺も加えといてください、ついでにナレオもつけ加えときましょうよ」
「....そうだな、それでいいな?」
「嫌だとは言わせないぜ?だいたいお前のボケを見ないと船に乗ってる気がしない」
そんな軽い口約束だけで済ませてくれる、優しさが嬉しかった。
そして俺は未だ、船の上にいる。
彼と出会う前と同様キカ様の片腕として働き、甲板で風を受けながらあの日々を思い出す。
受ける風の中に、少しでもあの日流れていった彼を感じたくて。
毎夜、左手に口付け床につくのだ。
願わくば、今宵はこの手に宿る彼に逢えるように、と。
手を伸ばせばその存在を感じられる訳でもない。
ふと目をやればその姿を見ることが出来る訳でも無い。
それでも、この紋章が在る限り繋がれた、俺と彼との記憶。
持ち主が変わろうとも、繋がれた記憶も、その心も在り続けるのだ。
望んだ通りの穏やかな、優しいものではなかったけれど。
これが俺たちの、永遠に続く愛の形。
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久々のお題。
幻水4のスタッフロールを見ながら制作。
まさかその後にあんなムービーあるとは思わなかったからなぁ(^^;
ま、ひょっとしたらこういう終わり方したかも、ってパラレルかな。
4主の名前を出さない為に苦労したことを除けば随分とサックリ仕上がった。
基本的にこういうネタは書きやすいらしい(傍迷惑な奴
最初出来上がったブツではシグルドだと判別できなかった為、急遽キカ様とハーヴェイに登場してもらったりした。
でもお陰でちょっとだけシグらしくなったような気がするからいいや。
ちなみにうちの4主の名前はシンという。
罰→(Punishmentは略せん→)罪と罰→(Crimeも微妙→)罪→Sin
でも思いついたのが1周目終わってからなので、再度データ作り直し....ぐあぁ。