戯言。
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2004年06月12日(土) 079.たとえばこんな愛し方[テニプリ/菊リョ]
部活の休憩中、いつもの木陰で休んでいると後ろから抱きつかれた。
顔を見るまでも無く犯人は分かっている。
「菊丸先輩....重いッス」
「オレの愛は重いのだ!」
「なに訳の分からないこと言ってるんスか....とにかく離して」
「や〜だね!」
「まったく、アンタって人は....」
そう言いつつ振り払わないのは、相手が彼だから。
なんだかんだ言って彼とくっついているのは嫌いではない。
........顔が見えないこの体勢はあまり好きではないけれど。
なのでいつも通り向かい合わせに膝の上に乗っかって座りなおす。
「ね、ね、おチビ」
「なに?」
「あのね、ちょっと聞きたいんだけど」
「なにを?」
「ん〜とね、その....」
少しだけ紅く染まった頬を掻きつつ口篭もる菊丸。
正直言ってとても可愛らしい。
「だから、何?」
「えっと、その....おチビさぁ、オレのこと、好き?」
「え?」
「オレのこと、愛してる?」
「.....................は?」
勿論オレはおチビを愛してるぞ、と誇らしげに宣言しつつ、詰め寄ってくる。
声に出して開き直ったのか、先ほどまでのしおらしさは微塵も無くなり満面の笑みで迫ってきた。
好きか嫌いか、そう聞かれたら迷わず好きだと答える。
でも、彼に対するこの気持ちはそんな単語では言い表せない。
少しばかり戸惑いつつも、正直な思いを口にすることにした。
「好き、とか愛、っていうか」
「うんうん?」
「必要」
「............................へ?」
「だから、アンタは必要なの」
「必要?」
そう、と頷いて話し続ける。
「お調子者だしヘタレだし抜けてるし気分屋だしテニスしてないとただのバカだし」
「....褒めてないよおチビ」
「我ながらなんでこんなのが良いんだか分からないんだけど」
「........おチビぃ〜」
「でも、いないと調子がおかしくなるんだよね」
「....え?」
「部活に来て姿が見えないと集中出来ないし、その癖試合中でも先輩の声だけはちゃんと聞こえるし」
「....そうなの?」
コクリと頷き、しっかり視線を合わせて言い切った。
「だから、俺が俺である為に必要なんだよ....エージ先輩、アンタがね」
「........おチビ、それってすっごい殺し文句」
「俺は思ったこと言っただけなんだけど」
「うん、それがもっと嬉しい」
そう言って、菊丸はとてもとても幸せそうに笑った。
***
[余談]
「....いつまでだらしない顔してんの」
「なんかオレってばおチビに愛されてるな〜、って思ったらさぁ♪」
「........休憩終わるまでには戻しなよね、走らされんのヤでしょ?」
「ん、頑張ってみる」
そう言いつつも彼の笑みはますます深くなるばかり。
さすがに自分の発言が恥ずかしくなってきたが、それよりも目の前の相手が嬉しそうにしているのが嬉しいなんて思ってしまうあたり、自分も相当だ。
このままいくとまず間違いなくグラウンド10周の刑が言い渡されるだろうが、彼と一緒ならそれも悪くは無い、そしてそう思う自分も嫌いではないと思ったリョーマであった。
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無理矢理お題を選んでみたが、なんか違うような....まあいいか。
とりあえず菊リョでベタ甘な話(当社比)を書きたかっただけ。
っていうかこれを菊リョと言い張って良いものだろうか(爆
跡宍でこんなクソ甘い話(あくまで当社比)書きたいなぁ....(無理無理