戯言。
2004年04月02日(金)  030.携帯電話[テニプリ/跡宍]

※これだけでも読める筈....だが実は前回からの続き物



碌でもない夢を見た。
現実ではないと分かっているが、どうしても確かめたくて。
そして、携帯電話を手に取った。

「....俺だ」

彼の声を聞いた瞬間、安堵のため息が漏れる。
そして口から出たのは彼の名前。

「景吾」
「どうした、こんな時間に」
「....悪ぃ」

普段なら電話などかけるはずの無い時間。
なのに、文句一つ言わず逆に自分を気遣う。

「亮?」
「ちょっと....な」
「亮....ほんとにどうした?」
「大したことじゃねえよ」

声が震える。
もし本当にこの存在を失ってしまったら、自分はどうなるのだろう。
夢と分かっていてさえこの体たらく、これが現実になったら。

「なんて声出してやがる。怖い夢でもみたのか?」

笑いを含む声。
彼の声に安堵しつつ、再度恐怖が頭をもたげてきた。
今聞いているこの声こそが夢だとしたら。

「今話してるのって景吾....だよな」
「....てめえ、まさか誰に電話かけたか分からねえとか言わねえよな」
「........分かってるよ」
「ったく、何をそんなにビビッてやがる?」
「...............」

ふう、とため息をついて跡部が話し出した。

「俺は今自分のベッドの中にいて、てめえと話してる。分かるか?」
「....ん」
「でもって今、すげえ困ってる。分かるか?」
「困ってる....?」

ひょっとして。

「勘違いしてんじゃねぇぞ。珍しく素直に電話してきたのは嬉しい」

悪い方に考えが行きかけたところで、すぐに止められた。

「遠慮してんじゃねえ、もっと頼れ」
「でも」
「それともなんだ、てめえは俺様が多少の寝不足程度でブッ倒れるとか思ってやがるのか?」
「ンなこと思ってねえよ」
「ならもう少し素直になれ、亮」
「........」
「情けねぇけど、ほんとに困ってんだよ。今俺はお前の傍にいないから」
「景吾?」
「傍にいねぇから、抱きしめてもやれねえ。大したことも言ってやれねえ。俺はどうしたらいい?月並みに[今から行くから待ってろ]とか言えばいいか?」

他の奴らは知らないであろう、彼の穏やかな声。
わざとおどけた様に話すその声を聞いていると、あれだけ不安で仕方なかった心が落ち着いてきた。

「....とまあ、そんなところだ。安心したか?亮」
「....解ってたのか」
「当然だろ?俺様を誰だと思ってやがる」
「跡部様、だな」
「分かってんじゃねえか」

今度はいつもの声。
さっきはあれほど不安に駆られたこの声を、今はとても愛しいと思った。

「もう大丈夫だな」
「ああ、心配かけた」
「よし、じゃあ寝ろ」
「....ああ」

もう大丈夫、それは嘘ではない。
でも、またあの夢を見たら....
忘れた筈の恐怖が甦りそうになるのを抑えつつ、受け答えをする。

「まずは電気消せ....消したか?」
「ああ」
「じゃあベッドに入れ」
「....ああ」
「びびってんじゃねえよ、電話切れとは言わねえから。風邪ひくだろ?」
「わかった」

精一杯はった虚勢も、見事に見透かされていた。

「景吾」
「ん?」
「夢、見たんだ」
「そうか」
「どんな....って聞かねえのか?」
「明日聞く」
「明日?」
「ああ。電話じゃなく、直接聞いてやる」
「そっか」
「だから嫌な夢は忘れて寝ろ。話してる最中に寝こけやがったらただじゃおかねえぞ?」
「分かってるって....なあ、景吾」
「ん?」
「有難う」
「........ああ」

跡部の声を聞きながら、俺は再度眠りに落ちた。

「俺がいなくなる時、その時はお前も一緒だ。だから安心しろ、亮」

そう言って電話が切れたことにも気付かずに。

その後見た夢にもあいつが出てきた。
でも、最初に見たようなものではない。
朝、寝起きでちょっと不機嫌そうなあいつの隣には俺がいて、並んで歩いていた。
さっきとは違う、優しい夢。

そして、翌朝全く同じ風景が再現されることをこの時の自分は知らない。


*****

ぎゃー宍戸さんが弱い、弱すぎだ!アナタ誰デスカ....
そして終わり方....ああそうさ続くらしいさ!(マジすか?!
もともとの話は前回の話、宍戸さんがみた碌でもない夢だったりする。
でもアレで終わっちゃう宍戸さんが悲しいだけなので、夢オチにしてみた。
アルケーかよ!(笑
てかね〜やっぱ跡部様は宍戸さんも連れてきそうな気がする。
置いてかないと思うのよあのお方は。
置いていくなら連れて行くだろう、と。
跡宍は常に一緒に、というところがミソなのではないかと今は考えているので。
....こんなこと言う前にたとえ夢でも殺すなってのが大前提なんだけどね(前科者がなに言ってやがる



関係ないけど今日試写会で観た[ハッピー・フライト]、主人公が卒業試験で某人物の裏切りにより最悪の結果に終わってはしまったが良き理解者(社内で影響力持ってる人物)の後押しと口添えで再試験受けて見事国際線ファーストクラス勤務になった、って流れが宍戸さんレギュラー落ち事件に思えて仕方なかったよ。
でもって教官は「規則だから」って再試験に反対するんだけど、その理解者の後押しで試験受けられて、しかも素晴らしい結果で実力を見せつける。
最後には教官にも「頑張れ」って言われるんだな。
ワーワーワー宍戸さんだ!跡宍だ!(そう思うのはお前だけだ


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