ヒカリよりも迅く
リュカ



 この一年を。

ひとつひとつ、順を追って振り返りたい。思い出せる範囲内で。
思い違いをしていても、なんかおかしいことがあっても、気にしない。とりあえず今頭の中で思い出せることだけでも。
ものすごく、チカラが要る作業だけど。




1月。
大学に通いつづける意欲を失って、体調を崩したり精神的に落ちたり。
某オフ会に出だし、いろんな人といつでも会えるおもしろさにはまり。そこで出会った年下の子に告白され、付き合い始める。
現実逃避な日々の中、後期末テストを全部蹴った。ひきこもりそうになるのを必死で外に引きずり出し、バイトとオフ会に明け暮れる日々。

2月。
親と頻繁に連絡をとりあい、今後どうしたいのかを毎日考えてた。
やめたい、でも帰りたくない、でもお金がない、体調が持つかわからない、休学したい、でも復帰するかわからない、どうしていいのかわからない。
外で見せる表情と家での表情が明らかに別人だった気がする。リスカと過食嘔吐、頻発。
東京に遊びに行き、懐かしい友だちと会ってしばし和む。

3月。
月初に引越し。伏見から北山に移住。
その直後、彼と別れた。気持ちを疑ってしまったあたしに非があった。彼を傷つけたことに罪悪感を感じて鬱々。一度壊れた関係は二度と同じようには還らない。
現実から目を背けたい一心でオフに参加しまくる。寂しさの穴埋めをしたいがために別の人にアプローチをかけまくり、それが後になって笑えない事態を引き起こすことなんで思いもよらなかった。

4月。
大学から奨学金停止の通達が来た。同時にやめる決意を固めた。
実家に帰りたくないと言い張り、何度も親と言い争い。あたしの人生を悲観して「一緒に死のう」と包丁を持ち出されそうになったこともあった。いくら最後まで守ってくれる存在であったとしても、そんな親とは暮らしてられないとはっきり認識。
それでも平行線の話し合いに疲れ果て、どうなってもいいやと実家に戻ることを半ば自棄気味に承諾。

5月。
実家に帰ることの実感が湧かないまま、部屋の解約手続きと退学手続きをする。きっとこれからの人生なんて親がなんとでもしてくれるんだと思って、からっぽの気持ちで京都での残りの日々を過ごす。
オフには出まくり。3月にアプローチかけてた人が、掲示板で名無しであたしを叩いていたことが発覚。そんなことするはずないと信じていただけにショック大。生きてる意味を疑い始める。
親が京都に来て実家に帰る手はずを話し合っていたとき、ふとしたことでまた揉めた。
いいこいいこで親に従って、まともに逆らえずわがままも言えずここまできて、これから先も続くのかと思ったら急に耐えられなくなった。自分の人生くらい自分でケリつけてやると啖呵切って、土壇場で京都に残ることを決めた。
とはいえ月末の仕送りもなく奨学金もなく、新しい仕事を探さないと食っていけない状態。新居も契約しないと7月には家がない状態。今すぐに金が要る、仕事が要る。
売れる物は全部売ってすぐに月末から仕事をかけもちではじめた。ごまかしはきかない、ある意味開き直りだが嫌悪感も抵抗感もなかった。とにかくここで生きていきたかった。
何も知らない世間知らずの女子大生が未知の世界に身ひとつで飛び込んだ、人生で一番長い一ヶ月。

6月。
仕事は双方ともに順調。物件の契約も済み手付金も無事に払え、引越し準備に追われる。
悩んでる余裕もないほど新しい生活はめまぐるしかった。リスカはほとんどしなくなる。
オフにはまだ出続けていたが、出会い目的と揶揄されてちらほら叩かれるようになる。
月末に引越し。新しい家は狭いが落ち着いた。少しずつ金銭感覚がずれ始める。

7月。
誕生月ということでイベントが続いた。人生初USJ。夜な夜な飲み歩いて金を使いまくる。
現実に何一つ実感がわかず、自分が自分のものでない感覚に陥るようになった。仕事も遊びも淡々として、何をしていてもどこかで冷静に見ている自分がいた。それを打ち消したくて、仕事がないときはオフで遊びまくり。
付き合う気のない友だち何人かと関係を持ち、それでも何の罪悪感も生まれずぼーっとしていた。軽いOD頻発。
東京に行って散財。からっぽの欲望はとどまるところを知らない。
ミクシィを始め、こっちの日記の放置プレイに拍車がかかる。

8月。
オフ友だちと4人で海に行く。純粋に楽しかったが、そのあと家での飲み会に元彼も来ることになりテンションだだ落ち。鬱々した気分を跳ね除けようにも仕事が思うようにうまく行かず、ODがエスカレート、リスカ再発。
数日後ODしたままオフに出て、帰宅後もアルコールで薬を大量投入。その日のオフに参加してた人から、様子がおかしかったと心配する電話をもらった。あたしの状態を危惧して夜中に駆けつけてくれたその人と朝まで過ごし、そのまま彼の家に連れていかれた。状況がよく飲めないまま、彼の家で保護される形になってしまった。
なんとも思ってなかった人に強引とも言えるやり方で保護され、困惑しつつも少しずつ状況とその人に慣れていった。オフに出る回数も減っていった。
バイトをひとつやめる。

9月。
オフがらみで本格的に叩かれ、最悪板にスレが立った。ミクシィの日記や過去の男関係等々晒し上げられ、人間不信に。オフに出る気力も夜遊びする気力もなくなり、仕事以外はずっと彼の家にいるようになった。
経済的に余裕ができたせいか精神的に揺らぐことがまた少し増えた。それでも帰る場所ができたことで、以前よりは随分ラクになれていた気も。

10月。
仕事に身が入らなくなり始めた。どうしても気持ちがついてこない。それでも稼いでいかないとやっていけないので頑張っていたものの、始めたときの情熱はうせつつあった。
オフには完全に出なくなった。彼と過ごす時間を何よりも優先しがちになり、ただでさえ少ない友だちがまた少し減った。
ミクシィでオフがらみの人間に見られることが耐えられなくなり、周囲の人間に黙って新しいアカウントを取り直す。せいせいした。
大学を覗いてサークルの活動に顔を出した。懐かしい反面、もう過去の人であることを実感。もうサークルに顔を出すつもりはない。

11月。
彼とケンカすることが多くなったが、基本的にはつまらないことなのですぐに解決。いつまでこの微妙な関係が続くのかを考えて不安になることも増えた。
大学の学祭に行き、やっぱり大学生はいいなぁと思ってみたり。大学に戻るつもりはないが、自分がこれからどうしていきたいのかを真剣に考える時期のような気がしてきた。きちんとした目標がなくて生きるためだけに働いてることに少し違和感を覚え始める。

12月。
仕事に限界を感じ、あることがきっかけでやめた。すぐに知人の紹介で新しい仕事に就く。こちらも未知の世界なので仕事中は楽しいが、どうにも気後れしそうになる。
年始に帰省するつもりだったが、いろいろゆっくり話したいと言いつつも、生活っぷりを問いただす気満々の親の口ぶりに辟易して帰省をキャンセル。
東京に行き、数人と会ってきた。会いたい人は他にもたくさんいるが、宿も取らない行き当たりばったりの強攻スケジュールではなかなか無理。行きは彼と一緒だったが途中から別行動の予定だったので、わかってはいたが帰りはなんだか惨めになってしまった。
年越しをどうするかは未定。年が変わる瞬間にも仕事中の彼を差し置いて遊びになど行きたくはないので、きっと家にいてひとりで過ごすのだろう。
波乱万丈すぎた一年の締めくくりくらいは、どうか静かに穏やかにいたい。




ざっと、こんなかんじで。
途中からかなり偏ってたけど、気にしない。
なんだかいろんなことがありすぎて、何をしていたのかよくわからない一年だった。
何百人単位での一期一会があり、社会の厳しさを思い知り、追い込まれたときの人間の底力を体感し、自分は簡単に斃れないことを確信した。
そんな一年。それまでの21年よりずっと、濃くて長くてあっという間だった。
何にも代え難い経験。きっと、これからの人生をよくも悪くも大きく動かすのだろう。

次の一年がどんなものになるか、あたしにはまだわからない。
どんな一年にしたいかも、まだ思い描けない。
それでも、振り返ったときに後悔だけはないようにしたい。
ここまでめまぐるしいのは、しばらく遠慮したいけど。

新しい年に向けて、最後の一日をゆっくり送ります。
まだまだ終われない、これからも続いていく、あたしの日々。
ひとつの区切り、通過点。一節のピリオド。
終わりは、はじまり。

2005年12月31日(土)
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