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■ なみだのいろ
最近無性に泣きたい衝動に駆られる
いつなんどきでもというわけでは勿論なくて 例えば学校を出た瞬間から、ひとりになった瞬間から 誰かといるあいだ自然に高く保たれていたテンションが 少しずつ静かに下がりはじめて 駅から家に向かう5分の道程は急勾配の下り坂 部屋のドアを閉めてまずはため息 理由の無い虚無感があたしをお出迎え
それでも涙がこぼれることは決して無く
本を買いひたすら読み耽り映画のビデオを何本も借りて観て 大好きな音楽を立て続けに流し感傷にひたるべく想い出を集めてみても
ただでさえ鈍い感受性、当然のように反応無し ココロはカタチとなって外に出る術を持たないかのように
たまねぎを切れば確かに涙は出てくるけど 残念なことにそして皮肉なことに あたしの部屋に今たまねぎはひとつも無い 実に由々しき事態だなどとふざけた泣き真似のひとつでさえも
せめてもとアルコールの力を借りてもみたけれど あたしの涙を誘い出すには力及ばずといったところ 枯れるほど流した覚えもないから 涙の体内含有量が絶対的に欠乏しているのかもしれない
素直に泣けなくなったのはいつの頃からか もう覚えてはいないけれど 泣くまいとしている小さいあたしが 身丈も器も今よりずっと小さかった頃のあたしが まだ心の中に居るのはたしか
強がることしか知らず 涙を弱さの象徴としか見ていなかった頃を 哀しく笑ってやりたいけれど
人前で素顔を取り繕おうとする その反動だとぼんやり思ってしまうほど あたしは今でも無理しているのだろうか
自分以外の誰にも答えを求められないけれど
せめて人並み程度に泣けるようになりたい 切実にそう願ってしまうのは あたしがかつて馬鹿にしていた 弱さにすぎないのだろうか
2003年05月25日(日)
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