ミドルエイジのビジネスマン
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2008年12月28日(日) THE DOLLAR CRISIS

リチャード・ダンカンの「ドル暴落から、世界不況が始まる」という本を読んでいる。金との交換義務から自由になった国際通貨ドルは好きなだけ印刷され、また、諸外国はアメリカに対する輸出で得たドルを、自国通貨に交換しないで、そのままドルで運用している。交換して自国通貨にするためにはドルを売らなければならず、そうすると相対的に自国通貨高を招き、交易条件が不利になるからだ。

どんなに貿易収支が赤字になっても相手国の持つドル建て準備資産増加で相殺できれば、別にアメリカは困らないという時代が長く続いた。普通であれば、溢れたドルはインフレを招くはずだが、あまりに労働コストの安い国々で生産された製品は価格の下落を招き、通貨当局をあわてさせるようインフレの状況にはならなかった。

しかし、旺盛な需要もいつかは調整されなければならない。それは何がきっかけになるかは分からない。今回は結果としてはサブプライムローン問題であったが、去年の夏には貧困層を対象とする住宅融資の残高の全体に占める割合は大きくないという論調がもっぱらだったはずだ。

ついに強制的な調整が始まった。問題の本質は「強欲な資本主義」に血迷った金融機関の経営にだけ帰する訳にはいかない。需要は引き潮のように引いていくが、一旦拡張された生産設備はすぐ廃棄する訳にはいかない。猛烈な生き残り競争を繰り拡げながら、強い者のみが生き残る日まで、時間をかけて生産能力が調整される。その際たるものが「自動車」だ。あまりに巨大な産業であるゆえに、その経済的、社会的影響は政治も巻き込んで大変な混乱を招こうとしている。トヨタがいち早く動いているのは、それを良く知っているからだ。

自動車に限らずあらゆる産業界で、急落した需要とバランスが取れる水準まで時間をかけて生産能力が調整される。それは長く苦しい戦いの始まりだ。
この過程で、ドルは他の通貨に対して厳しいドル安調整をしなければならないという。

来る2009年は、いったいどんな年になるのだろうか。






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