ミドルエイジのビジネスマン
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| 2008年06月29日(日) |
頑張れ大和屋 箱根の温泉宿にて(写) |
箱根登山鉄道の「宮の下」から5人乗りという小さな自家用ロープウェイに乗って谷底に降りると目的の堂ヶ島温泉「大和屋ホテル」に到着した。由緒ある温泉宿で恒例の宴会旅行を兼ねて晴れてハッピーリタイアメントをする先輩を祝うためだ。ビジネスマンのハッピーリタイアメントについては、もう少し思いが熟成してから改めて書こうと思う。
谷底の旧い木造の宿は歴史があるので芸能人も数多く訪ねて来ているらしい。露天風呂に入ると下手くそな字で「スティービーワンダー様は滝の下の石に座られました」という立て札が目に入ったリする。
ただ、増築を重ねた竜宮城風の建物は老齢化した忠実な従業員と一緒であちこちガタが来ている。それでいて、アジアの団体客を呼ぶのはプライドが許さないという風情だ。しばらくは昔の名声で食いつなげるとしても、あと数年以内には抜本的な対処が必要になることだろう。
まずは、あちこち部屋数の多さを持て余している大きな建物のダウンサイズだ。古びて暗い客室や形だけの内風呂を思い切りよく減らそう。残した部屋はお金をかけなくても、窓の折れた桟や外れかかったり穴の開いているサッシの網戸を修繕するだけでも大分違う。素人のパッチワーク大工仕事ではなく、プロにきちんと直してもらったほうが良い。
お料理も特色がないまま、ただ品数が多ければ良いという昔風のやり方はやめよう。銘々膳に向かって座っているお客様を看守のように見回りながらお代わりを聞くのは止めよう。
従業員は、廊下の脇にある暖簾の影でやっている裏方の仕事を見せないように工夫しよう。同僚や部下の名前くらいしっかり覚えよう。従業員同士の議論はお客様に聞こえないようにしよう。
カジカが鳴き、せせらぎの音しか聞こえない谷間の宿は、かけがえのない文化的財産だ。どうにか工夫して、旧き良き時代の温泉文化を伝えて繁栄していただきたい。あの座布団を敷いたレトロなロープウェイに乗ると、時代を超えて、良質なサービスを受けられる昔の温泉宿にタイムスリップするのだと都会で噂になったらいいなと思う。
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