ミドルエイジのビジネスマン
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2008年02月24日(日) 冬になればモツ焼き屋に(3)

「ナンコツ塩」も捨てがたい。コリコリした骨の触感と少し肉のついている贅沢さを塩味が引き締める。注文したとき、一瞬、おしま〜いという宣告を受けたのだが、引き取り手のなくなった注文の一皿が残っていたらしく、なんとかいただくことができた。続いて席に座った人が「ナンコツしおーっ」と元気良く注文したが、タッチの差でおしまいであったらしく、「エエッ開店一時間でもうないの?」と怨嗟の声を上げていた。

わが身の幸運さを味わっていると、以前、近くに座った年配の客が、ナンコツ好きなんだけど噛み切れなくなってねと言いながら、申し訳なさそうに骨を皿に戻していたことを思い出した。

店を出て目の前の魚屋さんの店先を見ると、鯨のベーコンが売っている。更に目を凝らすと、魚の刺身に混じって鯨の刺身もあったので、お土産に両方とも少しずつ買った。なかなか手に入らないという鯨もこんな小さな商店街でひっそりと売られているのか。

焼酎で朦朧としながらも電車に乗り、途中でちゃんと乗り換えたはずだったのだが、気がつくと、見たこともない風景の中にいた。そこは新しく開発されている広大な住宅地の中にある新しい駅だった。雪の残る寒々とした風景にポツンと建っている駅の掲示板には、森と野鳥を保護する活動をしている人々の写真が貼られていた。ひとりでモツ焼き屋に行ったささやかな休日の夢は、雪の平原に建つ鉄骨とアルミサッシの駅で現実に戻った。


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